• "先進事例等"(/)
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  1. 山口県議会 2022-11-01
    12月07日-04号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 4年11月定例会   令和四年十一月山口県議会定例会会議録 第四号      令和四年十二月七日(水曜日)  ────────────────────        議事日程 第四号      令和四年十二月七日(水曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第二十五号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第二十五号まで                会議に出席した議員(四十七人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(なし)                                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       近 藤 和 彦 君                    総合企画部長      松 岡 正 憲 君                    産業戦略部長      前 田 安 典 君                    環境生活部長      藤 田 昭 弘 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      高 橋 博 史 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      京 牟 礼英二 君                    財政課長        安 藤 公 浩 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        今 村 政 裕 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        木 村 香 織 君                    公安委員長       今 村 孝 子さん                    警察本部長       中 西   章 君                    代表監査委員      河 村 邦 彦 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員会事務局長   大 田 淳 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        國 吉 宏 和 君                    事務局次長       原 田 和 生 君                    総務課長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課長      岡 本 正 敏 君                    政務企画室長      國 弘 敏 和 君                    秘書室長        植 木 啓一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          佐 伯 和 樹 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第二十五号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 中嶋光雄君。    〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) ◆(中嶋光雄君) おはようございます。社民党・市民連合の中嶋です。 早速、通告に従い、質問いたします。 衆院小選挙区十増十減の改正公選法が十一月二十八日官報に公布され、今月二十八日に施行されます。 小選挙区の数は、都市部で十増え、地方で十減となりました。 比例代表ブロックは、衆院選の比例代表の定数百七十六を全国の十一ブロックに割り振った結果、東京ブロックで二、南関東ブロックで一増の一方、東北、北陸信越、中国の三つのブロックでは一つずつ減り、定数は三増三減となりました。 区割り改定は、地方の人口減少傾向が変わらなければ、人口が過密する都心部で定数が増える一方で、より人口が少ない県の小選挙区の数が減り続けることとなり、地方の代弁者が減少することで、地方の声がさらに国政に届きにくくなるなどといった指摘があり、地方軽視ではないかとの声も上げられています。 投票価値の平等は憲法の趣旨であり、一票の不平等は可能な限りなくす必要はあるものの、地方の声をどうくみ上げていくかは、国政に民意を的確に反映させるという政治の根幹に関わります。 しかし、今回の区割り改定は、その具体策が示されることなく、一票の格差是正と言いながらも、その場しのぎの数合わせではないかという不信感も否めません。 地方では選挙区、つまり議員が減るほど有権者の声が国政に届きにくくなる一方、都市部においても、区割り見直しのたびに選挙区が変わることで、有権者と政治家とのなじみが希薄となって結びつきが弱くなり、選挙への関心がさらに薄れるのではないかと懸念されています。 本県では、かつて中選挙区であったときには、九人の衆議院議員がいらっしゃいましたが、小選挙区制に移行し、四選挙となり、当然のことながら、三人となってしまいます。このまま人口減少が続き、さらに地方の声を届ける議員が減少することで、人口減に拍車がかかるのではないかとの懸念も否定できません。 人口比だけを基準にしていては、有権者が政治にアクセスする環境の格差や不平等が都市と地方との間で拡大することを危惧します。 そもそも小選挙区制度自体が民意を切り捨て、多くの死に票を生み出す制度となっており、人口変動に伴う定数及び区割り変更に頻繁に直面することになります。 一票の格差解消と同時に、民意を的確に議席数に反映させることこそが求められていることからして、今の小選挙区比例代表並立制に対し、比例代表選挙に重点を置いた選挙制度の在り方を含めながらの議論こそが必要ではないかと考えます。 そこで伺います。衆議院の区割り改定した、いわゆる十増十減という改正公職選挙法で、本県は衆議院議員の定数が一名減となりますが、今回の改正公職選挙法に対する県の御所見をお聞かせください。 次に、子供医療費助成制度の拡充について。 本議会に、やまぐち未来維新プラン最終案が示されました。いわく、人口減少が続いており、このままの傾向で推移すると、二〇四五年には百四万人にまで減少する、その要因の一つが、出生数が減少を続けていることで、合計特殊出生率は一・四九で全国平均を上回って推移しているものの、人口置換水準二・〇六には達していない。 さらに、理想とする子供の数を、二人または三人とした既婚者は八〇%を超えており、多くの方が人口置換水準以上の子供を持ちたいと思っているが、理想の子供の数を持たない理由では、一般的に子供を育てるためお金がかかるからと、子供の教育にお金がかかるからが五〇%以上占めるなど、経済的理由が挙げられています。 また、決算特別委員会資料によれば、本県の福祉医療費助成制度は、対象年齢は通院、入院とも小学校就学前までで、市町村民税所得割が十三万六千七百円以下の世帯の所得制限ありですが、他県では、対象年齢が十八歳年度末や中学校卒業までが増えていることから、全国比較で制度的に後れを取っていると言わざるを得ません。 また、県内市町の子供医療費助成制度の状況を見ても、市町は県の制度を単独で拡充し、対象年齢は高校卒業までを筆頭に、中学校卒業までがほとんどを占めている現状になっています。 さらに言えば、県都山口市は、対象年齢拡大及び所得制限撤廃とも中学校卒業まで県制度を拡充し、令和四年度予算ベースで十億九百三万四千円のうち、単独拡充分は、実に七億四千九百四十九万三千円で、実に七四・三%を占めています。 我がまち山陽小野田市は、対象年齢は中学卒業までで、所得制限撤廃が就学前までなのですが、それでも予算額一億七千六百三十万七千円に対し、単独拡充分は一億七百六十三万八千円で六一・一%と、市の持ち出しが過大になっています。 そこで、本県の人口減少率は中国五県ワーストワン、全国でもワーストテンであることも鑑み、人口減少対策の具体的なカンフル注射として、また、市長会、町村会も子供医療費助成制度の拡充要望を出されていることからも、かかる県の福祉医療費助成制度は対象年齢を拡大し、所得制限も撤廃すべきと、藤本県議も言われましたけれども、私からも御所見をお聞かせください。 三つ、マイナンバーカードについて。 十月十三日、河野太郎デジタル相は、マイナンバーカード健康保険証の機能を一体化させたマイナ保険証への切替えを前倒しし、二〇二四年度秋に現在の保険証の廃止を目指すとともに、運転免許証の機能との一体化の時期も前倒しを検討すると発表しました。 マイナ保険証は昨秋から本格運用が始まっていますが、これまで政府はカード取得はあくまで任意であり、マイナンバーカードを持たない人は従来の保険証を使えると説明をしてきましたし、法律上もマイナンバーカードの交付は個人の申請に基づく任意のはずであります。 現在の健康保険証でも不都合がないのに、それに運転免許証やクレジットカードともつながり、経営では消費税のインボイスともつながっていきます。個々人の資産管理も徹底され、医療、介護など社会保障の負担増にもつながりかねません。 様々なナンバー化は個々に必要であるとしても、国の一元的番号制度は個人情報の強制的な管理となり、情報漏えいの心配もあります。零細経営でマイナンバーの設備投資についていけないことや、独居老人などでデジタル化に対応できない人々の社会的生存権を奪うことにもなりかねません。 また、地方交付税の交付金でカード交付率ごとに自治体間の格差をつけるとしていますが、地方交付税は自治体の財源であり、自治体間の格差を是正し、均衡化を図るという原則からも外れています。 マイナンバーカードの申請率は、二〇一五年から七年もたって、しかもマイナポイント第二弾などのばらまきによって、物価高に苦しむ国民の足元を見た、金でつるような政策を行うことで、強引に実質的な義務化を進めてようやく六〇%、十一月二十八日総務省発表ですが、世論調査も二分化しています。日本弁護士会も異議を唱えています。 さらに、紛失などの何らかの事情でマイナンバーカードがない人も、保険診療ができるよう検討などと政府は言っているようです。そもそも健康保険証を廃止しなければ発生しない問題であり、いつから法によって任意とされたカードを持たない事情が必要になったのか、訳が分かりません。 そこで、現在の紙などの健康保険証は、切れる前に新しい保険証が自動的に送られてきて、今のままのほうがずっと便利だと、しかし、岸田政権の現行の健康保険証を二四年に廃止し、マイナンバーカードと機能を一体化させたマイナ保険証に切り替えるとする方針は、事実上マイナンバーカードの取得を強制することになると考えますが、県の御所見をお聞かせください。 また、新型コロナ対策等で疲弊する地域医療への影響も否定できないと考えますが、併せて県の御所見をお聞かせください。 四点目、物価高騰期国民負担増について伺います。 長引く新型コロナ感染症期からさらに物価高騰期となり、多くの国民は生活苦にあえいでいます。この歴史的な物価高騰とまで言われる困難な時期に、社会保障の各種負担増と大衆増税が政府とその審議会などから予定されています。 物価対策も、その多くは一過性の臨時的な給付金であり、継続的な対策は負担ばかりが強まることになってしまいます。 社会保障で見るなら、特に全世代の公平性とか少子高齢化社会だからとされ、高齢者から苛酷になっています。この一年のうちに、年収二百万円程度で決して生活に余裕などない高齢者に医療費窓口負担の二倍化、食費倍増で年金収入のみで介護施設が利用できない窮地に追いやる、そして物価高騰の中で容赦なく年金支給額を削減、そして、今度は、要介護一・二の介護保険外しや介護費負担原則二倍化まで狙われています。 二〇二四年度が診療報酬と介護報酬の改定期であり、様々に保険料や患者負担、利用料が今までにない負担増の方向とされています。 現役時代の国民健康保険や健康保険も、同じく様々な負担増が予定されています。年金も引き下げられるばかりか、基礎年金である国民年金の保険料負担期間が六十四歳まで引き延ばされ、四十五年間の負担とされています。 大衆増税では、諸外国のように消費税を下げるどころか、インボイスだけでなく、税率も引き上げるとされています。そのほかには、たばこ税、退職所得控除見直し自動車関連道路利用税配偶者控除見直しなどが様々に提言され、予定されています。 その一方で、防衛費は前半の五年間で総額四十八兆円程度が必要、防衛省とまで言われています。このような軍事費拡大ではなく、社会保障や税制の軽減で国民の生活と命を守ることこそが最優先にすべきです。 そこで、社会保障の負担増や大衆増税は、国債の発行や軍事超大国化と結びついています。この十年余り、地方自治体は国の乱暴な政治に振り回され続けてきたと考えます。 そこで、住民の福祉の増進と県民の安心・安全を守る地方自治体の本旨を踏まえ、物価高騰期の二〇二三年度、特に二〇二四年度から提言され、予定されている社会保障や大衆増税に対する県の御所見をお聞かせください。 五点目、新型コロナ対策について。 二〇一九年十二月、中国の武漢で新型コロナウイルス感染症患者が確認されました。もう三年の歳月が流れ、それ以降マスクの着用、手指の消毒、三密の回避をはじめとした様々な感染予防対策が求められ、鬱屈した三年間でした。 当初は、PCR検査についても、国のガイドラインは体温が三十七・五度C以上の状態が四日以上続く場合は医療機関を受診することとされ、この解釈をめぐっては後々物議を醸しましたが、その後、今では、九月二十六日から新型コロナ陽性者の対応が変更になり、全数届出ではなくなり、保健所に発生届を報告する対象者が六十五歳以上の高齢者や妊婦の方など、重症化リスクの高い方に限定され、それ以外の方の自宅療養は自己管理が基本となっています。 そのため、県では、自宅療養者フォローアップセンターを設け、発生届の対象外となった方に登録をしてもらい、病症悪化時の健康相談や食事等の生活相談などの支援を行うことになっています。 そして今、第八波入りが指摘される中、オミクロン株の新たな系統の広がりに注視が必要な状況です。ここに来て、全国の新規感染者数の増加速度は比較的緩やかなようでありますが、年内にもピークを迎えるとの見方も出ています。専門家は、今後の新しい系統への置き換わりの状況などにより、ピーク後に再増加する可能性もあると警告しています。 そこで、新型コロナウイルスが確認されて、もう三年が経過し、既に第八波に入ったと思われますが、県はこれまでの経験を生かしつつ、今後の感染拡大に対して、どのように対応しようとされているのかお聞かせください。 また、ある中学校の生徒さんが肘を骨折し入院、手術前検査でコロナ陽性が判明し、手術できずに自宅療養を余儀なくされ、二回の検査がようやく陰性反応が出て、十日後に手術が受けられ、完治まで二か月かかるとの嘆きを聞かされました。 こうした新型コロナ陽性患者の手術について、県内の医療機関では、医学的・専門的な知見からどのように対応されているのか、お聞かせください。 六点、上関原発問題について。 十月二十五日、中国電力は、公有水面埋立ての工事竣功期間伸長許可申請書を提出、その理由を海域のボーリング調査に六か月、埋立工事の竣功に約三年、海上ボーリング調査に対する妨害予防請求訴訟に十一か月必要として、着手の日から十七年八か月以内を竣功期限としたとしています。 同日付で、上関原発を建てさせない祝島島民の会に対し、海上ボーリング調査の作業を妨げないよう求め、山口地方裁判所岩国支部に提訴しました。 村岡知事は、十一月二十八日に三度目となる期間延長許可について、これまで同様、工事が竣功できなかったことに合理的な理由があるか、また、土地需要があるかどうかを法律に基づいて審査して許可を出したとコメントされています。 また、さきの中電の訴状を読むと、工事竣功期間伸長許可申請においては、発電所敷地内の断層の活動性評価に万全を期すため、埋立工事に先立って埋立工事施工区域内において海上ボーリング調査を実施する旨を明記し、当該調査に要する期間を工事竣功期限に織り込んでいると主張しています。 そこで、海上ボーリング調査公有水面埋立ては、そもそも異なる法令に基づいた許可申請が必要で、共通項は許可権者が村岡知事である点だけです。公有水面埋立工事に先立って行う海上ボーリング調査の期間を竣功期限に含めて、期間延長を許可できるとする根拠法令等をお示しください。 事実、海上ボーリング調査に当たって、県は、一般海域の利用に関する県条例に基づく一般海域内行為許可申請書を提出させていますが、これとの関連、整合性を説明されたい。 今回は、さらに、公有水面埋立権等に基づく妨害排除請求権又は妨害予防請求権を争う訴訟期間まで含めて、中電の求めに応じるままに許可していますが、同じくこれの根拠法令をお示しください。 これに関連して、この間、中電は海上ボーリング調査をやるやると言いながら、現場海域で漁をする祝島漁民の釣り船を回って、御協力をお願いしますと頼んで回ったものの、ことごとく拒まれたり、写真・動画を撮ろうとするので肖像権の侵害だと抗議されて、すごすご引き返す始末で、本気でボーリング調査をする気はないように感じていましたが、今回の訴状で、その理由がはっきりしました。 訴状によれば、被告らは、原告が海上ボーリング調査の実施を試みようとするたびに、本件公有水面に船舶を進入、停泊させるなど、これを妨害したことから甲第九号証を提出、これは各社の新聞記事のことですが、原告は、令和元年から令和三年の三年にわたり、同調査を実施することが全くできなかったと厚かましくも主張しています。まさに、訴訟に備えた証拠集め活動だったことが明らかになったと言えます。 そこで、この間の中電の現場海域での不可思議な行動の繰り返しを、県の許認可所管課は確認の上で、指定期間内に竣功できなかったことについて合理的な理由があると判断したのか否かお聞かせください。 次に、土地需要については、今回も資源エネルギー庁の一課長の上関原子力発電所に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていないとの文書をもって良としたと思われますが、これは二〇〇五年二月に定められた重要電源開発地点の指定に関する規程によるもので、上関原発がこれの対象電源に指定された経緯について詳しく御説明ください。 なお、二井知事時代の六分野二十一項目の意見書提出により、電源開発基本計画への組入れがそもそもの出発であるはずですが、この点を踏まえて、山口県としてどのような関わりをこの間持たれたのかお聞かせください。 さらに、歴代の水産部長、農林水産部長は、祝島漁民が係る埋立海域で漁をしていると認識しているとの議会答弁があります。さきに触れた一般海域内行為許可申請書に添付するよう定められている利害関係人の同意書の中に、祝島漁民のものがないにもかかわらず、土木建築部では許可していることについて、漁業権を所管する農林水産部としては、どのような見解をお持ちかお聞かせください。 最後に、センチュリー問題について伺います。 十一月二日、山口地方裁判所はセンチュリー裁判で、購入は裁量権を逸脱、濫用した財務会計上の違法行為で、知事には指揮監督上の義務に違反した過失があるなどとする県民感情に近い判断を示した判決を出しました。 村岡知事は判決後、正直驚いている、弁護士とも相談し、控訴するか検討したいとコメントされ、結果、十一月十五日に広島高等裁判所に控訴されました。 控訴理由などをお聞かせ願いたいものですが、例により係争中であり、答えられないでしょうから、せめて知事御自身は、東南アジア出張中にあえて控訴されたことに特別な事情があったのか否かお聞かせください。 次に、このセンチュリー購入問題について、私も二〇年十一月定例会で質問、当時の会計管理局長の主な答弁は、知事の定例記者会見でのコメントを踏まえた、次回更新時には運用状況を踏まえ、車種の選定や購入金額の検討を行っていきたいです。 そして、十一月二日に、県民注目の山口地裁判決が出たにもかかわらず、驚いたことに、週刊誌に、公用車に二千九十万円は違法判決後も云々との見出しが躍り、十一月十日、自民党本部にセンチュリーが横づけされたなどとする記事が全国発信され、まさに驚きました。 そこで、この間の一連の流れからして、来年度予算・施策要望のためなどとはいえ、県議会議長が東京出張の際のハイヤーにセンチュリーを手配するということは、県として過剰過ぎる忖度ぶりではないのかお尋ねし、一回目の質問といたします。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 中嶋議員の御質問のうち、私からは、衆院小選挙区十増十減についてのお尋ねにお答えします。 このたびの改正公職選挙法の成立により、人口減少に直面している地方の有権者の声を、国政に届ける上で重要な役割を果たしておられる衆議院議員の定数が本県において減少することは、大変残念なことと考えています。 また、現行の選挙制度では、衆議院における都道府県の選挙区数は、人口基準のみにより定められていることから、さらなる人口減少が見込まれる地方においては、今後も議員数の減少が避けられないものと認識しています。 このたびの改正法の採決に当たって、衆議院では、人口減少や地域間格差が拡大している現状を踏まえ、議員定数や地域の実情を反映した選挙区割りの在り方等に関し、抜本的な検討を行うとの附帯決議がされたところです。 こうしたことから、私は、今後、国会において、地方の声を国政にしっかりと反映させることができる選挙制度の検討を行っていただきたいと考えています。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) 子供医療費助成制度の拡充についてのお尋ねにお答えします。 本県の制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しており、受診回数の多い三歳未満児を無料とした上で、一部負担金は中国地方で最も低額であるなど、全国的に遜色なく、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本と考えています。 次に、マイナンバーカードについてのお尋ねのうち、地域医療への影響についてです。 マイナンバーカード健康保険証の一体化については、医療機関の受診情報の共有による質の高い医療の提供などが期待されていることから、県としては、国の責任において、国民の十分な理解と納得を得て普及・啓発を進めるよう、全国知事会等を通じて要望しているところです。 次に、新型コロナ対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、今後の感染拡大に対する対応についてです。 県では、これまで新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大時において、県民の安心・安全を守るため、市町や関係機関との連携の下、医療提供体制の整備やワクチン接種の促進に努めてきたところです。 こうした中、これから本格的な冬場を迎えるとともに、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されることから、今後、感染症対策の一層の強化を図ってまいります。 まず、医療提供体制については、医療機関の御協力により、六百八十床の入院病床に加え、六百五十二の診療・検査医療機関等を確保するなど、想定される一日最大約八千人の発熱患者に対応できる体制を整備したところであり、引き続き、休日・夜間を含めた診療体制のさらなる強化に努めてまいります。 また、感染者が確実に相談でき、適切な受診につながるよう、受診・相談センターの相談体制や自宅療養者フォローアップセンターの相談・診療体制の拡充に取り組みます。 次に、ワクチン接種についてですが、現在、接種を行っているオミクロン株対応ワクチンは、重症化予防はもとより、感染や発症予防にも高い効果が期待されています。 このため、できるだけ多くの方に速やかに接種いただけるよう、市町等と連携し、十分な接種体制を確保するとともに、ワクチンの効果等についての情報発信の強化に努めてまいります。 県としては、引き続き、市町や関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、新型コロナ陽性患者の手術への対応についてです。 コロナ患者の手術に当たっては、術後に、コロナの影響により全身状態が悪化するリスクがあることを踏まえ、各診療科の専門医が、患者の受傷の程度などを医学的に評価し、手術を含めた治療方針や実施時期について慎重に検討することとなります。 このように、県の医療機関においては、医師が個々の事案ごとに患者の状態等を総合的に評価し、緊急性を判断するとともに、必要な感染対策を講じた上で、適切に対応しているところです。 ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) マイナンバーカードに関する御質問のうち、健康保険証との一体化によるカード取得についてのお尋ねにお答えします。 国においては、マイナンバーカードは法の規定により、国民の申請に基づき交付されるものであり、この点について健康保険証との一体化に当たっても変更することはないとされていることから、カードの取得義務は課されておらず、取得を強制するものではないと考えています。 次に、物価高騰期国民負担増についてのお尋ねにお答えします。 人口減少、少子高齢化が進む中、国民一人一人が将来に希望を持ち、安心して生活できる社会を実現していくことが、今後の重要な課題となっています。 このため、国において、社会保障における給付と負担の在り方を見直し、能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて、必要な保障をバランスよく確保する制度の構築を目指す検討が行われています。 また、厳しさを増す我が国の安全保障環境やエネルギー価格の高騰など、これまでにない様々な事柄への対応が求められる中、持続可能な財政運営を行っていけるよう、今後の税制の在り方等も議論されていると承知しています。 これらの事柄は、いずれも国の制度に関わるものであり、県としては、まずは国政の場において十分議論していただきたいと考えています。 次に、ハイヤーについてのお尋ねにお答えします。 議長が東京での移動に使用されるハイヤーの車種については、これまでの使用実績や地元で使用している車両の状況等を踏まえて、大型を手配しています。 なお、使用の申込みに当たり、特定の車名を指定しているものではありません。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 上関原発問題に関するお尋ねのうち、埋立免許の延長許可についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、埋立工事に先立って行う海上ボーリング調査の期間を、竣功期限に含めて期間延長を許可している根拠法令等は何か、また訴訟期間まで含めて許可している根拠法令とは何かについて、まとめてお答えします。 公有水面埋立法第十三条の二第一項において、正当な事由があると認められれば、期間の延長を許可することができると定められています。 海上ボーリング調査については、埋立工事により地層が乱される可能性があることから、地質データの確実な取得のためには、埋立工事に先立ってこれを実施しなければならないとの説明が事業者からなされました。 また、この海上ボーリング調査を実施できなかった状況を解消するため、訴訟を提起し、その判決を得て、安全に作業を進められる状況を確保した上で調査を実施するとの説明が、事業者からなされたところです。 県としては、こうした事業者の説明に合理性があり、正当な事由があると認められたことから、これらの期間を合わせて、延長の許可をしたものです。 次に、一般海域の利用に関する条例に基づく一般海域内行為許可申請書との関連、整合性についてです。 一般海域の利用に関する条例は、公有水面埋立法とは法体系を別にしており、お尋ねの海上ボーリング調査を行う場合には、同条例に基づく許可が必要となります。 次に、中電の現場海域での行動の繰り返しを県は確認の上で、指定期間内に竣功できなかった合理的な理由があると判断したのかについてです。 事業者からは、調査地点付近で複数の船舶を停泊させるなどの行為が継続してあったことなどから、調査に係る作業を安全に行うことができなかったと説明されています。 県としては、調査の実施に支障となる事実があったことについて、申請書及び補足説明により確認し、工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があると判断したものです。 ○議長(柳居俊学君) 三浦商工労働部理事。    〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 ◎商工労働部理事(三浦健治君) 上関原発問題についての御質問のうち、重要電源開発地点指定の経緯と県の関わりに関するお尋ねに、まとめてお答えします。 平成十三年四月六日、当時の電源開発促進法の規定に基づき、上関原発を電源開発基本計画に組み入れたいとして、国から知事へ意見照会がありました。 これに対し、県は、国において十分考慮、検討し、対応を講ずべき事項があると考え、同年四月二十三日、安全確保等を中心に六分野二十一項目の知事意見を提出し、国の誠意と責任ある対応を求めたところ、誠心誠意対応する旨の回答が国から得られたため、県は計画への組入れに同意しました。 国は、その同意を受けて、総合資源エネルギー調査会の意見を聞いた上で、同年六月十一日に、上関原発を電源開発基本計画に組み入れました。 その後、平成十五年十月の法の廃止に伴い、電源開発基本計画の制度も廃止されましたが、平成十七年二月に、その制度の意義や機能を承継する重要電源開発地点の指定の制度が設けられたところです。 その際、新制度における経過措置により、平成十四年度電源開発基本計画に含まれる電源は重要電源開発地点に指定できるとされたため、上関原発も地点に指定されました。 こうした経緯により、上関原発建設計画は重要電源開発地点の指定を受け、県は、その過程において適切に対応してきたところです。 ○議長(柳居俊学君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 上関原発問題についての御質問のうち、一般海域内行為許可に係る利害関係人についての、農林水産部としての見解についてのお尋ねにお答えします。 一般海域内行為許可申請書に添付する利害関係人の同意書については、一般海域の利用に関する条例を所管する部局が判断されるものであり、農林水産部として見解を述べる立場にありません。 ○議長(柳居俊学君) 京牟礼会計管理局長。    〔会計管理局長 京牟礼英二君登壇〕 ◎会計管理局長(京牟礼英二君) センチュリーに関するお尋ねのうち、東南アジア出張中の控訴についてお答えします。 お尋ねの控訴を十一月十五日に行ったのは、控訴期限が十一月十六日までであったためであり、当初から予定されていた知事の海外出張とは何ら関係ありません。
    ○議長(柳居俊学君) 中嶋光雄君。    〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) ◆(中嶋光雄君) 再質問させていただきます。 まず、センチュリー問題です。 この月曜日に、NHKさんが情報公開で開示された内容を全国放送されました。 これによると、議長さんらの上京時にセンチュリーを繰り返し手配、知事などは二割ほど安い中型ハイヤーだった。当初予算編成方針では、来年度の財源不足額は、現時点で約九十六億円が見込まれるとされ、今、内部で努力をされていると思います。 そして、この放送では、千葉県では経費削減の観点から、また、センチュリーから車種変更したときの県会議長さんは、地域課題を発信する議長の公用車として厳しい社会情勢の中で、本当に必要なのかと考え、見直したとのコメントも報道されています。 この際、知事自らが議長さんにもしかるべき対応をお願いされるべきではないでしょうか、お答え願いたいと思います。 上関原発問題です。 藤本県議の公開請求に対して、十二月一日付の開示文書によれば、県から、原発本体着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないこととの要請を出し、中電は、県の要請を重く受け止めると答えています。三度目のことです。とすれば、ボーリング調査及び埋立工事の順番は、まず、ボーリング調査、二番目に、原発本体着工オーケー、三番目に、埋立工事着手、四番目に、竣功認可になるはずです。しかるに、ボーリング調査に要する期間を工事竣功期限に織り込んでいるのはおかしなことです。 ボーリング調査の結果、原発本体着工オーケーの二が得られた後に、初めて現埋立免許の伸長ではなく、新たな埋立免許を申請しなければならないはずです。これが法令に基づいた手続です。どこが違いますか、お答えください。 先ほど三浦理事から、平成十七年に組み入れられた際には、その前の二井知事時代の六分野二十一項目の意見が引き継がれたということでしたけれども、その二井知事には、きちんと回答がいけなければ、県の有する許認可権を行使する場合もあり得るとこう申されています。この点についてどうお考えですか、再度お答えください。 そして、県は、一般海域占用許可に係る利害関係人を公有水面埋立法五条に列挙された水面権者と限定し、自由漁業、許可漁業を営む漁民を含めていませんけれども、公有水面埋立法では、三条三項の知事に意見書を提出できる利害関係を有する者に、自由漁業、許可漁業を営む漁民はもちろんのこと、地元住民まで含めています。さらに、市町村長の意見は市議会の議決を経たものとなっています。つまり、一般海域占用許可の利害関係人を水面権者と限定する上で、公有水面埋立法を援用しておきながら、なぜ公有水面埋立法の利害関係を有する者を無視するということは、極めて不可解なことです。なぜなのか、明快にお答えください。先ほどの土木部長では答えになっていないと思います。 さらに、物価高騰の中で県民の暮らしを守る施策、このことについては、県民にとって大変な重要なことですので、お尋ねいたします。 政府や官庁エコノミストはもっぱら外部要因、例えば、中国と米国の経済摩擦とデカップリング、ウクライナ戦争、米国の利上げなどによって起きている物価高騰だと説明しています。 しかし、今回起きているのは、単なる供給面に起きた障害や需給のミスマッチによる物価高騰ではなくインフレーション、このインフレーションは米中摩擦やウクライナ戦争によって拍車をかけられましたけれども、本質的には、それ以前から生じていた現象であることを、当たり前のことです。市場に、マネーをじゃぶじゃぶとつぎ込めば経済が活性化するはずだという政策によって、過剰な通貨の規模がさらに膨れ上がっており、それが過剰貨幣資本の巨大なマーケットの形成とも結びついて、生産部門においては、企業として成り立つだけの利潤が得られにくくなった経済環境下で、生産活動からは恒常的に切り離されてしまった巨大なマーケットの形成とその運動、それが今の世界と日本の基本の経済構造そのものになってしまい、それなしにはやっていけない状態になっています。インフレは、その結果に過ぎないと思います。 実体経済における生産的投資では、利潤が上がりにくくなったがゆえの過剰資本、過剰なマネーが株や債券に流れれば、資産インフレを引き起こし、今回のように商品、物への投機に流れ込めば、商品、物の価格高騰として現れるのは当然です。これが現在のインフレの本質と思うのですが、県御当局はどのように考えておられるのかお聞かせください。 さらに、これからの県政運営にとって、このインフレは重要な問題だと思います。私たちは何度か深刻な経済的危機を実際に見てきました。七十年代のオイルショック、八十年代に重厚長大産業が苦境に陥った構造不況、その後の深刻なスタグフレーション、そのスタグフレーションからようやく抜け出して、経済活況が訪れたかに見えたときに生じたリーマンショック、バブルの破裂、リーマンショックの傷跡は今でも就職氷河期、それを背景に広がった非正規雇用の拡大、格差と貧困の定着という深刻な後遺症となって人々を苦しめています。 今回のインフレについて、それらの戦後の経済危機の集大成を意味するような、極めて深刻な経済的困難が発生している、そういう事態だと受け止めています。県は、そういった危機認識を持たれているのかどうか改めてお尋ねし、再質問といたします。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) ハイヤーに関する再質問にお答えします。 知事、副知事や議長、副議長等が公務で上京した際には、限られた時間内で効率的に業務を遂行する必要があること等から、移動に当たりハイヤーを借り上げて使用しています。 その車種については、東京事務所がこれまでの使用実績や地元で使用している車両の状況等を踏まえて、大型・中型を選択しており、他県でも大型車の使用例はあることから、大型車の使用自体が過剰な水準とは考えていません。 一方で、行政のあらゆる事務は様々な環境変化等も踏まえながら、業務遂行の効率性や経費節減等の観点から、不断の見直しに努めていくことが必要です。 東京における車両の使用に関しても、そうした観点に立って、これまでに公用車の保有をハイヤーの借り上げに変更してきたところであり、今後も適切に対応していく考えです。 次に、物価高騰に関する二点の再質問にまとめてお答えします。 このたびの物価高騰は、世界的な需要回復やウクライナ情勢等を受けた、原油をはじめとする原材料価格の高騰、円安など、様々な要因により起こっているものと考えています。 この物価高騰は、県民の皆様の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えていることから、県では、これまでも速やかに補正予算を編成し、対応してきたところです。 県としては、今後とも、経済情勢や国の動向等を十分に注視し、国の経済対策にもしっかり呼応しながら、適切に対応してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 上関原発計画についての二点の再質問にお答えします。 まず、ボーリング調査の結果、原発本体の着工が可能との判断を行った後に、新たな埋立免許申請をしなければならないのではないかという御質問についてです。 要請は、公有水面埋立法の処分と切り離し、原発建設計画が存する県の知事という埋立免許権者とは別の立場から行ったものです。 このたびの延長申請については、埋立免許権者として、法令に従い厳正に審査したところ、正当な事由があり、許可要件を満たしていると認められたことから延長を許可したものであり、今後、竣功期限に向けてどのように対応するかは、事業者において判断されるべきものと考えております。 次に、一般海域占用許可の利害関係人を水面権者と限定する上で、公有水面埋立法を援用しながら、なぜ公有水面埋立法の利害関係人を無視するのかについてです。 一般海域の利用に関する条例は、公有水面埋立法とは法体系を別にしており、同条例による占用許可の取扱いについて、同法を援用しているものではありません。 一般海域の占用許可においては、利害関係人を、占用区域において、排他・独占的な権利である漁業権を有する者としていることから、自由漁業者や許可漁業者を利害関係人とは考えておらず、利害関係人を無視しているとの御指摘は当たりません。 ○議長(柳居俊学君) 三浦商工労働部理事。    〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 ◎商工労働部理事(三浦健治君) 上関原発問題に関する再質問にお答えいたします。 六分野二十一項目の知事意見におけます、権限の留保についてでございますが、ここで留保ということに対象にしております許認可につきましては、あくまでも法令の基準に沿って判断する必要があると考えております。 ○議長(柳居俊学君) 中嶋光雄君。    〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) ◆(中嶋光雄君) 私は、一般海域の条例と公有水面埋立法は法体系を別にしていると、今、土木部長、いみじくもそうおっしゃいました。だとするなら、なぜ埋立てと公有水面埋立てを一緒に、ごった煮にできるのですか、この法的根拠を教えてくださいとお尋ねしました。これについて答弁がございませんでしたので、御答弁をお願いいたします。 農林水産部長は、所管が違うから関係ないとおっしゃいましたけれども、それで県民のための、県知事が許可権者ですので、県知事は土木建築部も…… ○議長(柳居俊学君) 中嶋光雄君に申し上げます。 ◆(中嶋光雄君) (続)農林水産もある、と思います。この点について再度お尋ねいたします。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 上関原発問題に関します再々質問にお答えします。 公有水面埋立法第十三条の二第一項において、正当な事由があると認められれば、期間の延長を許可することができると定められております。 海上ボーリング調査については、埋立工事により地層が乱される可能性があることから、地質データの確実な取得のためには、埋立工事に先立ってこれを実施しなければならないとの説明が事業者からなされました。 県としては、こうした事業者の説明に合理性があり、正当な事由があると認められたことから、今回の期間を合わせて延長の許可をしたものです。 ○議長(柳居俊学君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 上関原発問題についての再々質問についてお答えします。 農林水産部としては、漁業者、漁業振興を図る立場があるのに、これでいいのかというような趣旨の御質問であったかと思います。 質問の内容は、あくまでも一般海域内行為許可に係る利害関係人について、農林水産部としての見解をお伺いするということでございました。 当然、これは条例に基づいて処理されるべきものでございますので、それを所管する部局が判断されるものであり、農林水産部として見解を述べる立場にはないという答弁をさせていただいたものでございます。 以上でございます。 ○議長(柳居俊学君) 橋本尚理君。    〔橋本尚理君登壇〕(拍手) ◆(橋本尚理君) 私は自由民主党新生会の橋本尚理でございます。 まず、安倍晋三元内閣総理大臣の県民葬についてお尋ねをいたします。 十月二十五日、国会において、立憲民主党の野田元総理による安倍先生への追悼演説が行われました。総理経験者ならではの敬意の籠もった、大変よい演説であったと私も受け止めました。民主主義は言論による真剣勝負の闘いでありますが、その根幹として忘れてはならないのは、政敵に対する敬意であります。立憲民主党にも品位のある方がまだ少しは残っていたのだと安堵したところであります。 さて、去る十月十五日に安倍元総理の県民葬が厳かに執り行われました。御尽力をいただいた全ての皆様に深く感謝を申し上げます。 会場となった海峡メッセ下関には、四千人を超える方が参列され、また県下各地の会場にも多くの方が献花に訪れられ、中には、涙ながらに花を手向けられた方もおられたと伺っております。我々関係者はもとより、県民の皆さんにとって、凶弾に倒れられたという悲しい現実に気持ちの整理をつけ、やがて歴史に刻まれる安倍元総理の時代を胸にとどめるために、大切な場であったと感じているところであります。 そこでお尋ねをいたします。県民葬を実施されたことの意義について、改めて県はどのように受け止められておられるのか、お伺いをいたします。 次に、私は先月十八日、防衛省から、長年、戦没者の慰霊顕彰に献身的に尽力し、愛国心の高揚及び安全保障意識の啓蒙、さらに自衛隊の人材確保に寄与したとの事由で、海上幕僚長より感謝状を頂きました。そこで、その受賞に応えるべく安全保障教育についてお尋ねをいたします。 まず、現在の世界情勢はといいますと、新冷戦とも言える緊迫した様相を呈しております。ウクライナへの武力侵攻によりロシアと西側諸国との対立は決定的になっており、中国覇権主義は、G7を中心とした民主主義のシステムを敵視すらしております。さらに、北朝鮮はミサイル発射実験を頻繁に繰り返し、核実験の準備に入っているとも言われております。 核兵器保有国三国に囲まれている我が国は、いつ何どき、他国からの武力での侵略を受けても、何の不思議もない現状であり、これまでのように有事がないことを前提とした安全保障議論ではなく、常に有事を前提とした議論をしなければならない時期が来ており、平和ぼけに浸っている時間的余裕は全くないのであります。 そこで我が国は、米国をはじめG7諸国と歩調を合わせていかなければならないことは言うまでもありませんが、この緊迫した情勢の中で、自らも国家としての強靱さを備えていくことが必要なのであります。 安倍元総理が強いリーダーシップと真摯な外交で築き上げたインド太平洋構想・クアッド、日米豪印四か国協力により、アジア太平洋諸国との絆が深まり、戦争抑止力を強固にいたしました。ただ、我が国の独立と平和を守るには、先日有識者会議が提言された、我が国の軍事力の増強による抑止力の強化は当然として、我が国は私たち国民が守るという強い国家防衛意識を国民自身が持たなければならないのであります。 しかし、九月に、私が主催した日本郷友連盟中国ブロック研修会で、柳井市出身の航空自衛隊西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令官などを歴任された廣中雅之元空将の講演を聞き、私の抱いている不安が的中をいたしました。 お話によると、戦後七十七年間、平和ぼけに浸り続けてきた日本人は、自国のために戦う覚悟はありますかという質問に、ありますと答えた人は一三・一%しかいなくなってしまったそうであります。 廣中さんは現在、大阪大学大学院招聘教授をされており、安全保障に関する講座を持っておられます。院生に、クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んだことがあるかと尋ねると、三分の二に近い院生が読んだことがあると答えたそうです。全て海外からの留学生だったそうです。日本人の院生は、全員その本の存在すら知らなかったとのことでした。ちなみに、先日の感謝状贈呈式で酒井海上幕僚長にお尋ねをしたら、さすがによく御存じでありました。 我が国の学校教育では、安全保障を学ぶことはありません。私の記憶でも、戦争は二度としてはなりませんと原爆の恐ろしさを習ったことぐらいです。これは、単に戦争の悲惨さを学んだにすぎません。どうしたら国の独立と平和、国民の生命と財産を他国からの攻撃から守ることができるのかという安全保障について教えられた記憶はありません。 安全保障を、いまだに憲法違反だという人たちがいる自衛隊と、政府自民党にだけに任せておいてよいのでしょうか。私は戦争をしろとか戦争を賛美しろとは言っておりません。戦争は絶対に避けるべきであります。ただ、どのような要因で戦争が起こるのか、相手が攻めてきたらどう守るのか、どうしたら戦争を防げるのかを、大東亜戦争を例にするのではなく、今我が国の置かれている現情勢を基に、子供の頃から学び考える必要があるのではないかと言っているのであります。 我が国では、学校教育において安全保障は教えない、結果、自国のために戦う覚悟がない若者が増えてきたと容易に想像できます。 そこでお尋ねですが、高校における安全保障教育の現状と、安全保障教育を行うことにより、子供たちに愛国心の高揚が図られ、国防意識を持つ若者に成長していくと私は考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 あわせて、事務方ではありますが、防衛省とのつながりが深い県職員に対する安全保障教育はなされているのでしょうか、併せてお伺いをいたします。 もう一点、私は、平成二十九年度に元陸上幕僚長の冨澤暉さんが名誉教授を務めておられる東洋学園大学で十回にわたる国防講座を受講しました。多くの大学でこのような安全保障に関する講座がなされていると思っておりました。 ところが、廣中さんのお話によると、全国の国公立大学で安全保障の講座があるのはただ一つ、大阪大学大学院、廣中さんの講座だけだそうであります。これでは、国防意識を持つ若者が育つことなく、平和ぼけした日本人が増え続け、結果、仮想敵国から我が国、我が国民は嘲笑されるのであります。 そこで、山口県は、陸・海・空全ての自衛隊基地があり、岩国には米軍基地もあるという、全国で最も我が国の安全保障を理解し協力している県であります。ましてや欧米列国からの植民地政策から逃れるためになされた明治維新発祥の地でもあります。 だからこそ、山口県立大学に安全保障の講座を設けるべきだと私は提言させていただきますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、上関原発建設計画について、私からもお尋ねをいたします。 去る十月二十三日に行われた上関町長選挙では、地元の将来を思い、原発推進の立場を取ってこられた西前議長が見事、大差での当選を果たされました。西新町長にお祝いを申し上げ、私自身、長年親交のある西新町長の手腕に大いに期待をしておりますことを、まずもって申し上げさせていただきます。 さて、私は、一期目に同期の県議さんたちとドイツを視察した際、原発廃棄物による大規模な土壌汚染が起こったことにより、ドイツが脱原発にかじを切ったと説明を受けました。ところが、このたびのロシアの暴挙により、ヨーロッパをはじめ世界の多くの国でエネルギー危機が勃発してしまいました。特に、脱原発・脱石炭を掲げ、再生可能エネルギーが主力となっていたドイツでは、以前から再生可能エネルギーだけでは電力供給が賄えないために、天然ガスでの発電量を年々増やしておりましたが、ロシアからの天然ガスの供給が絞られた途端、大変なエネルギー危機に陥ってしまい、今では国民の八割が脱原発の中止を求めております。ほかにも、フランスやイギリスは原発の新設を発表し、ベルギーは二○二五年の脱原発政策の中止を既に発表し、エネルギー危機を回避するために、多くの国が原発に依存しようとしております。 また、お隣の中国は、福島原発事故には目もくれず原発をつくり続け、今や原発発電量世界第二位となり、あと数年で米国を抜き、世界一位になると言われております。 一方、我が国では、八月二十四日、脱炭素社会の実現に向けたGX実行会議で岸田総理が次世代革新炉の開発・建設の検討を指示し、来年以降、新たに七基の既存原発の再稼動を目指す考えを示されました。 エネルギー政策の成否は、国の経済、国民の生命に直結する、まさに国家運営の根幹であり、国が責任を持って判断しなければならない最重要課題であります。総理が原子力発電の最大限活用を掲げられたことは、我が国のエネルギー事情を鑑みれば当然のことであります。ましてや、東日本大震災以降の社会情勢、政治情勢に思いを致せば、まさに英断であり、安倍元総理いわく、闘う政治家の姿を岸田総理に見たのであります。 私も、太陽光発電や風力発電の導入は、エネルギー自給率を上昇させる一つの手段であることは認めますが、天候に左右される再エネは、単独では安定供給源としての要件を欠いており、エネルギー危機とも言える現在において、最適解にはなり得ないと考えております。 今年三月二十二日、ちょうど私も上京中でしたが、福島県沖地震の影響で火力発電所六基が停止した中、季節外れの大寒波の襲来を控え、政府は、東京及び東北電力管内に、史上初となる電力需給逼迫警報を発令し、大規模な節電要請をされました。すわブラックアウト、大規模停電か、という非常事態に居合わせたことは、私の記憶に新しいところであります。 また、六月には、夏に向け電力の供給不足が予想されることから、全国に節電を要請する電力需給逼迫注意報が七年ぶりに発令されました。 さらには、電力需要のピークが、太陽光発電ができなくなる日没後となる冬場において、家庭での節電をはるかに超える電力供給不足が懸念され、電力需給逼迫警報が再び発令されるのではないかとも言われております。 では、なぜ、電力の逼迫などという事態がこの日本で起きるのでしょうか。その原因は、まず、平成二十三年の福島第一原子力発電所事故後、民主党政権が全ての原子力発電所の操業を停止したことであります。幾つかは再稼働しておりますが、原発による供給量は激減している状況は今もなお続いております。 次に、このような状況下にもかかわらず、電力市場の完全自由化を実施したことにより、発電コストが高く利用率の低い石油火力発電の休廃棄がなされ、電力供給量が減っていきました。 また、これに追い打ちをかけたのが、これも民主党政権下で始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度であります。太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電気を高い価格で電力会社は買い取らなければならなくなりました。 以前、環境福祉委員会で県外の大規模太陽光発電所を視察した折、電力会社の方から聞いた、「本音は、太陽光のような不安定な電力は買いたくないのですよ」との言葉は、今でもはっきりと覚えております。 結果、このたびの中国電力をはじめとした企業向け電気料金値上げに続いて、家庭向け電気料金の大幅な値上げ申請につながり、家計や経営を著しく圧迫するのは御承知のとおりであります。北陸電力に至っては何と四五%の値上げ申請をしております。 この議場でもそうですが、共産党や社民党をはじめ多くの方が、電力供給の不確実性からはあえて目を背け、再生可能エネルギーのメリットばかりを主張し、やみくもに原発のリスクを誇張するのは、国家・国民を守る責任ある主張とは言えません。これは安倍元総理いわく、闘わない政治家の姿であります。 さらには、福島第一原発事故を教訓として、小型モジュール炉をはじめ、安心・安全な技術向上を日夜追求されている、我が国が誇る技術者の皆さんの懸命な努力と蓄積を踏みにじるような行為であります。 私は、平成二十五年六月定例会で原発の再稼働について質問をさせていただきました。私の誕生日である昭和三十二年三月三十日の中国新聞の社説をそのとき紹介をさせていただきました。ここで、いま一度紹介をさせていただきます。 「核兵器と原子力の平和利用」と題しまして、 原子力が兵器に応用されるからといって、その平和利用をも拒んでしまうということは行き過ぎた考えであり、その周到な科学的の注意の下に平和的にのみ利用するときは、人類の生活の上に大きな寄与がなされることを信じて疑わない。 英国が原発計画を急ピッチで進めているのは、動力源が窮迫して、その急速な増強の必要に迫られているからであるが、そのような点について、我が国でも大いに関心を持ち、参考とすべきではないかと考える。いずれにせよ、原子力の平和利用について、国民はさらにあらゆる意味において関心を高めることが必要であろう。と結んであります。 まさに、今の我が国が置かれている立場を鑑みて書かれた中国新聞社説であります。 我が国のエネルギー政策は、これまで温暖化対策として太陽光や風力発電に重きを置いてまいりました。しかし、太陽光パネルの九割は中国産、風力発電設備メーカーは日本には一社もありません。また、太陽光発電に至っては、私の地元岩国や柳井でも問題となっておりますが、中国企業による買収により、環境だけではなく、我が国の安全保障までも絡めて大きな懸念材料となっております。 世界中が自国のエネルギー安全保障を考え出している中で、我が国はまだその教訓を生かしていないのではないでしょうか。 しかも、再エネ発電は雇用を生みません。これでは地方創生は程遠いのです。地方は豊かにならないのです。 そこで、冒頭申し上げましたが、先般行われた上関町長選挙では、政府が原発に対し新たな動きを見せた中で、十一年ぶりに推進・反対の両派から候補が出ての選挙となりました。上関町が原発誘致を表明してから四十年の節目の年に行われたこの選挙で、改めて原発新設の民意が大きく示されたのであります。西町長は、原子力発電所の建設による波及効果を期待し、子や孫が帰りたいと思ったときにふるさとがあるように町を持続させると話されたと伺っております。 こうした中で中国電力から提出された、上関原発に係る公有水面埋立免許延長申請について、県は先日許可を出されました。知事は、これまでも国のエネルギー政策と地元上関町の政策選択を尊重する立場を強調されており、原発回帰の動きが示されて以降、反対の立場から様々な意見もありましたが、そうした意見に惑わされることなく、我が国の置かれた状況をしっかりと見据え、国家の独立と尊厳を守るという大局的な視点に立っての適切な判断をなされたものと大いに評価をいたします。 そこで、私からも改めてお尋ねします。今回の免許延長申請に対して、どのような考えで対応されたのか。また、七割の町民が原発新設を支持した上関町の意向を踏まえ、今後どのように対応されるのか。あわせて、原子力発電をめぐる国のエネルギー政策の転換について、知事はどう受け止められているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、趣をがらっと変えまして、私が昨年来取り組んでいるインクルーシブ社会の実現についてお尋ねをいたします。 十月二十三日、第三回ふくろう公園インクルーシブDAYを実施いたしました。今回から、障害のある子への付添いとして、看護学生に加え、岩国ユネスコ協会の中高生にも参加をしてもらい、また、障がいがありますシールをつくり、その子の愛称を書いて服に貼り、気軽に呼びかけられるよう工夫をいたしました。 さらに、日本製紙から紙を寄贈していただき、お絵描きストリートや巨大折り鶴コーナーを設け、米海兵隊からは、ふわふわドームハウス二基を持ち込んでいただきました。なお、これには落ちがありまして、日米では電圧やアンペア、プラグの違いがあり、ふくろう公園の電気設備が使えませんでした。基地内から米軍使用の発電機を持ち込んで対応をしたところであります。 このように協力者が毎回増え、内容もバージョンアップしていくことにより、今回は、障害のある子百七十八人とその家族四百四十五人、計六百二十三人の参加となり、過去最多となり、ありがたいことに明日YABさんもJチャンやまぐちで私たちの活動を三たび取り上げてくれるそうであります。 また、前回に続き、岩国総合支援学校が長年にわたり取り組んできたリングプルの回収を呼びかけたところ、前回の八キロを大幅に上回る十三・五キロのリングプルが回収できました。前回の八キロは支援施設に寄贈した電動木馬遊具の購入資金に充てられたとのことでした。 それでは、参加者からいただいたアンケートを幾つか紹介させていただきます。 まず、参加家族からですが、看護学生さんに障害のない子と遊んでもらい、私と夫と二人で障害のある子を滑り台に挑戦させました。この機会でなければ絶対にできない経験でした。 障害のある子だけでなく、兄弟も楽しめます。姉二人が「障害のある弟のおかげでこのイベントに参加でき楽しかった」と言ってくれました。 三回目にして初めて朝から参加しました。今までトラブルを避けるために人の少ない時間にしか参加できないという感覚が身にしみついていましたが、今日は、気疲れではなく、体疲れができました。 愛称シールのおかげでいろんな人が声をかけてくれ、海兵隊の人が「ハーイ」と声をかけてくれてうれしそうでした。 障害のない長男が、「動きが遅い子がいてすごく待った」と不平を言いました。私もそれを見ておりましたが、脳性麻痺と思われる全介助のお子さんと家族三人で滑り台を滑っておられたのです。長男には、インクルーシブDAYの意味を教え、体を自分の思いどおりに動かすことができないお友達もいることを伝えると納得をしてくれました。世の中にはいろんな人がいるということを知る貴重な体験でした。 次に、今回初めて参加してくれたユネスコ協会の中高生からのアンケートです。 今日まで、障害のある子が気軽に公園を利用できなくて困っていることを知りませんでした。公園はみんなが利用できる場でなければならないのに、利用しないでといった視線を向け、中には直接言う人もいると思うと悲しくなり、公園が本来のあるべき姿になってほしいと思いました。 付き添った家族の方から、「次回、ぜひ君を指名したい」と言われ、次回も参加します。また、多くの人にこのイベントを知っていただきたいと思いますとありました。 改善点としていただいたアンケートです。 元気な障害のある子がメインとなっている気がしました。寝たきりの子供などもっと重度の子が参加して、少しでも表情が変わる何かを共有できたらなと思いました。 まさに今、私たち遊びと育ちのインクルーシブ架け橋会が直面している最大の課題を指摘されたのであります。 そこでお尋ねですが、県におかれましては、十月二日から山口きらら博記念公園で山口きららインクルーシブパーク二○二二を開催されました。私も初日に架け橋会の役員さんたちと視察させていただきましたが、その成果と今後インクルーシブパークの整備に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 また、各部局等にまたがっての取組となりますが、インクルーシブ社会の実現に向け、県としては今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いをいたします。 最後に、特別支援教育についてお伺いをいたします。 我が国には、障害のある子を持つ保護者に対し選択肢として特別支援学校、特別支援学級が設置されております。 しかし、今年九月に国連の障害者権利委員会が、日本政府に対し特別支援教育の中止を要請し、分離教育の廃止に向けた行動計画の策定を求めました。 私自身、インクルーシブDAYの開催を通して、米国と日本の障害児教育は根本から異なっているとの実感は持っております。米軍岩国基地内では、発達障害や難聴、知的障害のある子約二百人、スペシャルニードと呼ばれておりますが、通常学級で学んでおり、障害の有無にかかわらず、普通に仲よく一緒に遊んでいるそうであります。今回初めてスペシャルニードの子供たちにインクルーシブDAYの案内を出しましたが、参加者は一人もなく、逆に担当者から、なぜ日本ではこのようなイベントを開くのですかと質問をされてしまいました。 私には、障害のある子にとって、どちらの国の教育がよいのかは、結論は出ません。 そこで、このたびの特別支援教育の中止を求める国連要請に対する県教委の御所見と、我が県の今後の特別支援教育の在り方について教育長にお伺いをいたします。 終わりに、障害のある子を持つお母さんから聞いたお話の中で、私が最も印象に残っている話を紹介をいたします。 私には高校生の娘と岩国総合支援学校に通う障害のある中学生の息子がいます。息子が支援学校に入学し初めての参観日に、長女を連れていきました。支援学校に初めて入った娘は、障害のある子供たちがたくさんいるのを見て驚き、「ママ、この子たちはふだんどこにいるの」と聞いてきました。私はその言葉が忘れられません。この子たちは学校が休みの日は家で過ごすことが多いんです。いや、出かける場所がないんです。 どうか一日も早くインクルーシブ社会が実現しますよう、この議場におられる全ての皆様の御協力を賜りますよう請い願いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 橋本議員の御質問のうち、私からはインクルーシブ社会の実現に向けた県の今後の取組についてのお尋ねにお答えします。 私は、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する、いわゆるインクルーシブ社会を実現するためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要と考えています。 このため、本年十月には、障害のある方の人権の尊重、差別の禁止、障害についての理解、これら三つを基本理念とする、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例を制定し、障害を理由とする差別の解消や障害理解の促進に向けた取組を一層強化することとしたところです。 また、このたび策定するやまぐち未来維新プランにおいても、誰もがいきいきと輝く地域社会実現プロジェクトを掲げ、障害のある人とない人の相互理解の推進に取り組むこととしています。 具体的には、障害のある人への必要な配慮を実践するあいサポート運動を、より一層浸透させるため、今後、商工団体等にも幅広く協力を頂きながら、障害のある人が利用する商業施設や公共交通機関等に対する働きかけを強化してまいります。 また、県の将来を担う子供たちが、社会性を身につけながら成長する過程において、偏見なく、障害のある人に接する心を育むことができるよう、障害のある子供とない子供の交流や、学校教育における共同学習等にも取り組むこととしています。 今後は、障害のある子供とない子供が、レクリエーションなどを通じて交流を深めるあいサポランドの内容を一層充実することに加え、新たに作成した児童向けの研修教材等を活用して、小学校低学年からの障害理解の促進を図ってまいります。 さらに、今月十七日には、広く県民に対して条例の周知を図るとともに、障害や障害のある人への理解を深めていただくことを目的としたフォーラムを開催し、共生社会の実現に向けての機運の醸成を図ることとしています。 私は、今後とも、市町や関係団体等と連携し、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 内海総務部長。    〔総務部長 内海隆明君登壇〕 ◎総務部長(内海隆明君) 初めに、故安倍晋三元内閣総理大臣の県民葬儀についてのお尋ねにお答えします。 故安倍晋三先生県民葬儀につきましては、去る十月十五日、細田衆議院議長をはじめとする国会議員の皆様、県・市町関係者、各種団体や企業の代表者の皆様、さらには台湾、ベトナムなど海外からも多くの参列者をお迎えし、故安倍元総理を追悼する県民葬を厳粛に執り行うことができました。 また、当日は、主会場の海峡メッセ下関をはじめ、県内七つの会場に一万人を超える方々が献花にお越しになるなど、多くの県民の皆様とともに、故安倍元総理をお見送りすることができました。 故安倍元総理は、卓越した政治手腕とリーダーシップを発揮され、憲政史上最長の八年八か月の長きにわたって内閣総理大臣の重責を務められ、アベノミクスによるデフレ脱却や日本経済の再生、国際社会における日本の地位向上などに向け、我が国を力強く導かれ、偉大なる御功績を残されました。 また、地方の元気なくして日本の再生なしとの信念の下、人口減少に歯止めをかけ、地域の活性化を目指す地方創生の実現に向けた取組を強力に推進されるとともに、地元山口県の取組にも大変な後押しを頂くなど、県政の発展にも格別の御尽力を賜りました。 こうした国内外にわたって数多くの御功績を残された故安倍元総理を、多くの県民の皆様とともに、哀悼と追慕のうちに、厳かにお見送りすることができたことは、大変意義深いものであったと考えております。 次に、安全保障教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、防衛省とのつながりが深い県職員に対する安全保障教育についてです。 お示しのように、本県には、米軍岩国基地や陸・海・空全ての自衛隊基地があることなどから、毎年度、防衛省から関係部署職員に対し、国の白書や予算に関する情報提供や概要説明が行われるとともに、その際には、その時々の国際情勢について意見交換もなされているところです。 また、国が実施する、有事の際の国民保護に関する担当者説明会や研修等の際にも、日本を取り巻く安全保障環境の説明を受けているほか、危機管理担当として配置している退職自衛官の、豊富な安全保障に関する知識や経験などは、適時、他の関係職員にも共有をされているところです。 このように、防衛省と業務上のつながりが深い職員は、平素から、安全保障に関する様々な情報に触れ、その理解を深めるよう努めており、県としては、引き続き、防衛省・自衛隊とも連携しながら、県民の皆様の安心・安全が確保されるよう、万全を期してまいります。 次に、県立大学に安全保障の講座を設けるべきとのお尋ねについてです。 県立大学では、国際文化学部を設置しており、その中で、国際社会において必要な基本的知識を身につけることを目的に、安全保障の問題や、国際紛争、民族問題等に関する内容を学ぶ国際関係論を必修科目として開講しています。 この授業は、国家や国際機関等の各政治主体が、安全保障をはじめとする世界的な問題にどのように対応しているのかについて、講義を中心に考察するものとなっています。 こうした中で、本年三月、県立大学が地域貢献型大学として、時代や社会の変化に対応し、地域と共に未来を切り開く大学であり続けるよう、県と大学で県立大学将来構想を策定したところであり、このような観点から、本構想では、国際文化学部について、学部再編に取り組むこととされています。 現下の国際情勢を踏まえると、我が国の安全保障についてより理解を深める機会を確保することは重要であり、県立大学としても、学部再編に向けた見直しの中で、こうした観点も含めて、教育内容の充実について検討することとしています。 県としては、こうした県立大学将来構想の実現に向けた大学の取組について、引き続き支援をしてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 上関原発建設計画についてのお尋ねのうち、今回の免許延長申請に対する対応についてお答えします。 埋立免許の延長申請については、埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき、法令の規定に従って厳正に審査したところ、正当な事由が認められたことから許可したものです。 正当な事由が認められる場合とは、指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があることと今後埋立てを続行するのに十分な理由があること、すなわち、土地需要があることの二点の要件をいずれも満たす場合です。 まず、竣功できなかった理由については、埋立工事に先立って実施する必要がある海上ボーリング調査について、調査地点付近で複数の船舶を停泊させるなどの行為が継続してあったことなどから調査を終了できず、工事を期限内に竣功できなかったこと、また、訴訟によりその解決を図ることが説明されており、合理的と認められます。 次に、今後埋立てを続行するのに十分な理由があることについては、上関原発の重要電源開発地点指定は引き続き有効であるとの国の見解を得たことが示されていることから、土地需要があると認められます。 正当な事由があると認められるときは許可しなければならないものであることから、埋立免許権者として今回許可したものです。 次に、インクルーシブ社会の実現についてのお尋ねのうち、インクルーシブパークの整備についてお答えします。 近年、全国的にもインクルーシブパークが注目されてきており、県としても、今後の公園づくりを進める上で、必要な視点であると考えています。 このため、インクルーシブパークに係るニーズや課題の把握を目的として、本年十月二日から二十三日までの間、山口きらら博記念公園の大芝生広場において、インクルーシブに配慮した遊具を試験的に設置し、実際に遊んでいただく社会実験を実施したところです。 この間、一万人を超える御来場をいただき、その際に行ったアンケート調査では、いろいろな人が遊べる工夫がすごいといった声や、トイレが少し遠く、大人用の便座しかない等の御意見を頂いており、こうした成果を今後の公園整備に生かしていく考えです。 県としては、今後とも、障害の有無等にかかわらず、多くの方が集い、誰もが安心して一緒に遊べる公園づくりに積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 三浦商工労働部理事。    〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 ◎商工労働部理事(三浦健治君) 上関原発建設計画に関する御質問のうち、二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、今後の対応についてです。 上関町では、町議会の議決を経て原発誘致を決定され、町長が中国電力に対し原発誘致の申入れをされていることから、原発立地によるまちづくりを進めたいという政策選択がなされていると理解しており、現在も変わっていないと認識しております。 県としましては、上関原発建設計画に対しては、これまでと同様、地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するとともに、県民の安心と安全を守るという観点から適切に対応してまいります。 次に、国のエネルギー政策の受け止めについてです。 国においては、お示しのように、既設の原発の再稼働の加速や、運転期間の延長の在り方の見直し、次世代革新炉の開発・建設などが検討されています。 これらの取組は、エネルギー価格の高騰や電力需給の逼迫という足元の危機を克服するとともに、脱炭素エネルギーである原子力を将来にわたる選択肢として強化を図ろうとするものとされています。 県としては、エネルギー政策は国家運営の基本であり、原子力をどう利用するかは、安全性・信頼性の確保を大前提に、国の責任で判断すべきと考えており、国における取組の動向を引き続き見守ってまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、高校における安全保障教育についてです。 国際情勢が不安定であり、かつ急速に変化する現代社会において、我が国の安全保障や国際社会の平和と安全の維持について、子供たちが主体的に考え、しっかりと理解を深めることは重要であると考えています。 このため、高等学校においては、主に公民科や地理歴史科の中で安全保障に関する教育を実施しています。 具体的には、公民科において、日米安全保障条約や自衛隊が果たしている役割などを理解させた上で、我が国の平和と安全をいかにして実現していくかについて考察させる学習などを行っています。 また、地理歴史科においては、現在の国際社会が形成されていく過程を学ぶ中で、様々な戦争の原因や背景について考察させる学習などを行っています。 こうした中、今年度から実施されている高等学校学習指導要領では、生徒が主体的に課題を追求したり解決したりする探求的な学習が一層重視されているところです。 このため、公民科に新設された科目「公共」においては、例えば、変化する国際情勢の中で、我が国の安全と平和を維持するための取組としてどのようなことが有効かといった問いに対して、探求的に学ぶことで、生徒が安全保障を自分ごととして捉え、深く理解できるよう指導することとしています。 こうした安全保障に関する教育を行うことで、生徒に平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質・能力を育むことができると考えています。 県教委といたしましては、今後とも学習指導要領に基づき、安全保障に関する教育を適切に進めてまいります。 次に、特別支援教育についてです。 障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の障害の状態等に応じ、十分な教育を受けられるよう、多様で柔軟な環境を整備することは重要です。 お示しの、国連からの特別支援教育の中止要請に対して、国は、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組むという考えを示しており、本県においても、国のこうした考えに基づいて対応したいと考えています。 今後、本県では、この考えに沿って、障害のある子供が身近な地域で、きめ細かな指導、支援により、自己の持つ力や可能性を最大限に伸ばすとともに、子供たちが共に学び、支え合い、地域社会の一員として心豊かに成長できるよう、特別支援教育の取組を進めていくこととしています。 その取組を進めるに当たっては、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに的確に応えることができるよう、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、通常の学級、それぞれの学びの場における教育の充実を図ってまいります。 さらに、障害のある子供と障害のない子供の相互理解とともに、保護者や地域住民の障害者理解を促進してまいります。 県教委といたしましては、こうした方向性の下、引き続き特別支援教育の一層の充実に向けた取組を着実に進めてまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時四十五分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第二十五号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 松浦多紋君。    〔松浦多紋君登壇〕(拍手) ◆(松浦多紋君) 県民の誇りを育む会、松浦多紋です。質問に入る前に、一言申し上げます。 村岡知事、本日は記念すべき節目の五十歳の誕生日、誠におめでとうございます。(拍手) 同世代の方が山口県のリーダーとして県政を牽引していただいていること、大変ありがたく、同時に敬意を表します。公務多忙でいらっしゃいますが、家に戻られたら優しいお父さんとして、公務の際は、私たちの頼れるリーダーとして、充実した五十代のスタートとなる一年を過ごしていただければと思っております。 一年先の話になりますが、来年の防府読売マラソンの出場、心よりお待ち申し上げております。 それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。 二○二二年度から二○二六年度の五年間に進めるべき政策として掲げられている、やまぐち未来維新プランの素案から最終案を拝見させていただきました。基本方針である産業維新、大交流維新、生活維新を強化され、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向け、三つの維新、二十の維新プロジェクト、七十二の重点施策を掲げられ、これから本県が立ち向かう人口減少・少子高齢化や厳しい社会情勢であっても、活力に満ちた産業、にぎわいにあふれ、安心・安全で持続可能性を備えた地域社会を目指そうとされる山口県の強い思いを感じました。 これから取り組まれる五年間の維新プランが、二十年、三十年先の次世代の人たちが希望と誇りを持って暮らせる山口県にしていただきたいと思います。 そこで、維新プロジェクトを織り交ぜながら質問をさせていただきます。 まず、原油価格高騰などの経営危機に苦しむ県内加工業者支援についてです。 二○二一年から続く原油価格の高騰。石油輸出国機構、OPECの関係者によると、主な原因は、新型コロナによって落ち込んだ需要が世界的に回復傾向にあることと、対して多くの産油国に増産余力がないことが上げられているそうです。 また、別の要因に先物取引のAIツールの活用による自動化による弊害と言われています。自動化は三年前の二○一九年にはエネルギー先物取引の八○%に上っている状況です。 それらに加え、ロシアによるウクライナ侵攻が原油価格の高騰に拍車をかけている状況だと思います。 県では、先月まで二次募集を行った中小企業原油価格・物価高騰等対策支援事業補助金や、農業・漁業経営継続緊急支援事業、農業省エネ対策緊急支援事業、公共交通事業継続総合支援事業など取り組まれ、原油価格・物価高騰に対し様々な取組をされてきていらっしゃいます。 山口県では、六次産業化と農商工連携の取組を一体的に進め、やまぐち六次産業化・農商工連携サポートセンターを開設、やまぐち六次産業化・農商工連携推進大会はコロナ禍でも継続的に開催し、農林漁業者による六次産業化や中小企業者と連携した農商工連携を一体的に取り組み、県産農林水産物を生かした魅力ある新商品の開発や販路開拓を積極的に推進していらっしゃいます。その取組は、農林漁業者をはじめ幅広い方々が協力し、地域資源の付加価値を高め、地域内に雇用と所得の確保につながっています。 また、山口県には外郎や夏ミカンを使ったお菓子、三方を海に囲まれている特性を生かした、かまぼこやちくわなどの練り製品などをはじめとする水産物、日本酒やみそ、しょうゆなどの農産品、萩焼や大内塗、赤間硯といった民芸品、いわゆる山口県の物産品なども同様に地域資源の付加価値を高め、地域内に雇用と所得の確保につながり、製造をされている二次産業、いわゆる加工業の方々の一部は、六次産業化の推進のために欠かすことのできない産業であると言えます。 六次産業化による商品、菓子はもちろん、水産加工品、農産加工品、民芸品問わず、石油価格に付随する様々な光熱費の高騰は、加工はもちろん保管にかかる経費に直結し、事業継続の脅威となっているそうです。 山口県におかれましては、融資制度などの取組をされていらっしゃいますが、出口の見えない、いつまで続くのか分からない状況を改善するため、今以上に加工業の皆様に寄り添った支援が必要です。 六次産業化のさらなる発展はもちろん、山口グッと産品や山口海物語などを製造する加工業存続のためにも、早急に光熱費に対しての直接的な支援補助金が必要だと思います。 これらの取組は産業維新、四番目のプロジェクト、中堅・中小企業の底力発揮、五番目のプロジェクト、強い農林水産業育成、大交流維新、八番目のプロジェクト、国内外での市場拡大につながる取組だと考えます。食品をはじめとする県内加工業の皆様が、既に社会経済情勢の変化という脅威にさらされていることへの対策こそ急務だと思います。 そこでお尋ねいたします。やまぐち未来維新プランを進めていく上で、加工業者の事業継続、山口県が誇るブランド維持と発展のために、原油価格高騰などの経営難に苦しむ県内加工業者の方々に対し、今後どのように支援をしていかれるのか、県の御所見をお聞かせください。 次に、人口減少についてです。 山口県の現状として、将来に向けて最も脅威となっていることが人口減少だと私も考えます。もちろん県では、様々な取組を既に行っていらっしゃいますが、若年層の県外流出に目を向けて、大学への進学との関連から質問をさせていただきたいと思います。 まず、山口県の人口は、昭和三十三年百六十二万人をピークに十二年連続で減少し続け、その後、昭和四十六年から十五年連続で増加に転じました。昭和六十年を最後にその後は三十五年連続で減少を続け、令和三年は百三十二万人となっています。 推計では、二○三○年には百二十三万人、二○三五年には百十六万人、二○四五年には百三万人となっており、百万人を切ってしまうおそれは当然ながら非常に高くなっています。 要因に自然減と社会減が示され、社会減では十五歳から二十九歳の大幅な転出、三十代では男性の転入超過な一方、女性の転出超過、四十歳から六十四歳では転入超過となっています。 その中でも若年層の転出超過は理由がはっきりしており、進学・就職時に県外へ転出されているそうです。特に、男女とも流出の筆頭は福岡県、そして東京都となっており、男性は神奈川県、静岡県、愛知県、千葉県と続いていきます。女性は大阪府、広島県、神奈川県、静岡県。女性の場合の大阪府、広島県が入り込んでいるのは、きっと進学の関係ではないかと私は考えます。 さて、高校卒業後の大学進学率ですが、全国平均は、平成十三年度は四五・一%、平成十八年度は四九・三%、平成二十三年度は五三・九%、平成二十八年度は五四・七%、令和三年度は五七・四%と上昇しています。 もちろん山口県も進学率は上昇していますが、平成十三年度、平成十八年度ともに四一・一%、平成二十三年度は四三・二%、平成二十八年度は四二・七%と若干減少し、令和三年度四四・二%と数値は上がっておりますものの、全国の平均値に比べると伸び率が低いことが分かります。 高校卒業後、県内の大学へ進学できるチャンスが広がれば、進学率も上がり、県外流出を防げる可能性があるのではないでしょうか。 現在、山口県立大学には約千三百三十名の学生が学ばれています。約二千人が通う下関市立大学や約千七十名が通う周南公立大学とのバランスもあるかと思いますが、県立大学の定員を増やすことで、県外への進学を県内へ変更する学生による県外流出への対策、さらに多くの県外からの学生の確保につながると思います。 その取組は生活維新の十四番目のプロジェクト、新たな時代の人づくり推進につながり、さらに県内への若者の定着はにぎわいのあるまちづくりに直結し、生活維新二十番目のプロジェクト、人口減少を克服する地域づくり推進に大きな前進を与えることになると思います。 そこでお尋ねをいたします。山口県立大学の定員を増やすことは、山口県が抱える最大かつ喫緊の課題の克服に若干ではありますが寄与する取組だと思います。県の御所見をお聞かせください。 また、県立大学の入試制度には、県内高校推薦枠を設け選抜試験を行われているとのことです。県外の私立大学などから県立高校、私立高校に対し指定校推薦という推薦枠が多数あると伺います。県立大学において、県内全ての県立高校、そして全ての私立高校に対し、各校数名の指定校枠を設けることで、確実に県民である高校生の県外流出を抑制できると思います。県外大学に進学し、その先で就職してしまう可能性よりも、県内大学進学で地元企業に就職を期待することでも、若年層の県外流出抑制に効果があると思います。 そこでお尋ねいたします。県立大学への入学選抜方法に指定校推薦枠を設けることはできないでしょうか、県の御所見をお聞かせください。 次に、夜間中学についてお伺いいたします。 夜間中学の取組は大交流維新の六番目のプロジェクト、交流拡大による活力創出、生活維新の十番目のプロジェクト、結婚、妊娠・出産、子育て応援、そして十一番目のプロジェクト、やまぐち働き方改革推進、そして十五番目のプロジェクト、誰もがいきいきと輝く地域社会実現プロジェクトに関連すると思います。 まず、夜間中学のニーズ調査についてお尋ねいたします。 二月議会におきまして、外国人就労者、戦後の混乱期に学校に通えなかった御高齢の方、ヤングケアラーなど様々な原因で中学校を卒業できない方の立場を申し上げ、夜間中学設置に向けた質問をさせていただきました。 商工労働部、健康福祉部、県教委から御答弁を頂戴し、再質問をした際、ニーズの把握に努めたいと県教委からお答えいただきました。 その後の六月議会におきまして、公明党の曽田議員が、現在のニーズを把握し、県内で設置に向けた検討に取り組むべきと質問され、義務教育未修了者数や在留外国人数などの最新の状況を踏まえ、当事者に届く調査となるよう手法の検討を行い、市町教委や関係機関等と連携しながら、今年度中のニーズ調査の実施に向け、取り組んでまいりますとの御答弁をされたことは、夜間中学設置に向け前向きに動き出したものと安堵しております。本当にありがとうございます。 十月二十一日、県のホームページが更新され、待望の夜間中学に関するニーズ調査アンケートが日本語を含む六か国の言語を使い、十二月十六日まで実施されています。 グーグルの機能を用い、本人用の質問が十二問、保護者・支援者用の質問が八問、大変分かりやすく、的を得たアンケートだと思います。 市町教育委員会や関係機関・団体等と連携し、夜間中学に係るニーズ調査を実施しますと始めていただきましたアンケートではありますが、回答はウェブでの回答が可能ですとなっております。 しかしながら、御高齢の方が大多数だと思いますが、本県における未就学者は八百五十一人、最終卒業学校が小学校の方は七千九百二十五人と認識されていらっしゃるとのことですが、回答がウェブ中心になっているということは、御高齢の皆様はニーズ調査の対象者になりづらいのではないかと危惧しています。その方々にもアンケートに多く参加をしていただくための工夫が必要ではないかと感じております。 例えば、県が毎年四回、二月、五月、八月、十一月に発行されている広報誌ふれあい山口にもアンケート紙面をしっかり掲載する、また、各市町の広報誌の紙面を利用し掲載する、または県内全ての高齢者施設に案内するなどし、ウェブ環境にない高齢の方々に対してもアンケートを行わなければ、いい取組が中途半端になってしまうおそれがありますし、正しいニーズの把握にならないと私は感じました。 そこでお尋ねをいたします。ウェブでのニーズ調査は実際に行っていらっしゃり、ありがたい限りではありますが、ウェブ環境にいらっしゃらない高齢の方に対してのニーズをどのように把握していかれるのか、県教委の御所見をお聞かせください。 次に、自主夜間中学に対しての支援についてお尋ねいたします。 四月から、防府市では民間の自主夜間中学がスタートし、防府市在住の方だけではなく、山口市や周南市、宇部市からも学びの場に来られています。 私もボランティアで受付を行ったり、小学校低学年程度や漢字などを生徒の方と一緒に勉強したりしております。 民間というか自主的に始まった夜間中学校ですので、子供が使った何年か前のお古の教材や問題集を持ち寄り、消しゴムで消し再利用したり、ボランティアスタッフから登録料として会費を募ったり、クラウドファンディングで支援金を募ったり、費用のかからない会場を手配、スタッフの駐車場を民間の企業様にお借りするなどしながら運営をされています。 また、山口県初の取組として立ち上がった自主夜間中学は注目をされ、報道の方々からの取材や市教育委員会や関連団体などの方から視察を受けられ、その取組が評価されています。 二月議会におきまして、再質問でお示しをした防府での自主夜間中学校への視察、聞き取りなど何度もされ、ニーズや問題を把握をしていただきたいと思っております。 また、私は二月議会におきまして、自主夜間中学の運営をされている方への、また今後考えていらっしゃる方への活動支援について質問しましたところ、それらを運営している方、考えている方への活動支援の予定もありませんと御答弁を頂きました。 平成二十九年七月一日に文科省が夜間中学に対して行った都道府県調査によりますと、自主夜間中学や識字講座等への支援に関して、教育委員会や首長部局が主催しているものを除く、域内の自主夜間中学や識字講座等への存在を把握している二十五都道府県の回答ですが、運営に関わる補助金を交付したり、委託事業を実施したりしているが一六%あり、実施場所を提供しているが四%いらっしゃり、教材を提供しているが四%、そして、指導者を派遣しているは残念ながら○%でしたが、その他の支援をされていらっしゃるところが四%ありました。 残念ではありましたが、特に何の支援も行っていないが七二%ございました。 参考にしていただきたいものが、その他の内容の回答の中に、年に数回訪問し支援に向けた聞き取りの実施を行っている、退職校長会や退職予定者等への運営協力の働きかけをしていらっしゃる、運営スタッフの教育委員会主催教員研修への参加を呼びかける、また、活動内容等についてウェブページで広報をしている、識字学級指導者研修会、読み書き交流会を県主催などで開催などできることがあれば支援しますよというような温かい気持ちを持たれている都道府県もあった次第です。山口県もそんな懐の大きさを持ってほしいと切に願っております。 山口県内における最初の夜間中学を自主ではありますが、防府の地で起こされた方は、他の事例を参考にされ、自費で先進地を視察し、四月から活動をされています。その勇気と情熱と実行力は、今話題となっております言葉、ファーストペンギンの称号に値すると思います。 また、自主夜間中学に対して山口県教委の支援は考えていないとのことではありますが、資金援助や場所、教材の提供、どこも行っていない指導員の派遣を含め、手厚い支援をお願いしたいものです。自主夜間中学に対し、どこよりも手厚い支援を行う都道府県として、自主夜間中学における教育に対してのファーストペンギンになっていただきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。山口県内で既に始まっている自主夜間中学の動きに対して、県教委として可能な限りの支援を御検討いただきたいものですが、改めて県の御所見をお聞かせください。 次に、防犯カメラ・カメラつき防犯灯設置についてです。 防犯カメラが普及した契機は、平成七年に発生したオウム真理教による地下鉄サリン事件だとされています。防犯カメラは、防犯対策への活用や防犯抑止効果等が期待できる一方で、不特定多数の住民を撮影することになるため、慎重な運用が必要とされています。 防犯カメラの設置・運用を規定した法律は存在しませんが、防犯カメラの設置についての住民ニーズは高く、実際に防犯カメラの映像をニュースで見たり、それらで撮影された映像などが、事件の真相や犯罪の検挙につながっていることが多々あると思います。 他県の事例になり恐縮ではありますが、三重県警が平成三十年十二月十四日から二週間行ったアンケートによりますと、防犯カメラは治安をよくするために有効だと思いますかの問いに、どちらかも含め有効と答えられた方が九五・二%、複数回答可能の問いではありますが、防犯カメラの効果についての問いには、犯罪を未然に防ぐが七一・四%、安心感が得られるが四三・五%、犯罪解決に役立つが九○・○%、地域の防犯意識が高まるが四四・七%、そして、防犯カメラが設置されることで監視されている、プライバシーが侵害されていると感じますかの問いに対しては、少し感じるも含め感じるが四二・四%に対し、あまり感じないも含め感じないが四○・九%と僅差でした。 複数回答可能な問いですが、どのような場所に防犯カメラを設置したほうがよいと思いますかについては、繁華街が八一・七%、公園が六六・三%、駐車場・駐輪場が七五・二%、そして通学路が八六・三%となっていました。 他県のアンケートではありますが、防犯カメラに対する住民の皆様の期待はもちろんですが、警察行政における犯罪の抑止力の向上、犯罪の検挙率の向上に間違いなく寄与するものと考えます。 特に通学路に関しては、今でこそ地域ボランティアの見守り隊をはじめとする地域の皆様の御尽力を頂き安全な登下校が行われていますが、帰り時間が遅くなった際は、一人で下校する場合も見受けられます。また、中学生、高校生などは部活等の兼ね合いで、特に冬季は暗がりを一人で帰路につく場合もあります。そのような子供たちの安全を守る上で、防犯カメラ・カメラつき防犯灯の設置をぜひお願いしたく思います。 近年は、防犯カメラに照明がつき、センサーなどで反応し暗い夜道を照らしてくれるとともにカメラが起動するなど、機能も充実しています。 市町により呼び名こそ違うと思いますが、通学路安全会議には、市町の土木部の関係の方、所轄の警察の方、県土木建築部関係の方、国交省の関係の方など参加され、子供たちの安全確保に御尽力いただいております。 そのような会議などはもちろん、様々な場で県警察主導の下、国、県、市町、関連団体の方で連携を図り、防犯カメラやカメラつき防犯灯設置に向けた取組や協議が行えないでしょうか。生活維新、維新プロジェクト、十九番目の暮らしの安心・安全確保に直結する取組だと思います。 そこでお尋ねをいたします。通学路を含む全ての道を行き来する方のため、犯罪抑止や検挙率向上のため、様々な場所への防犯カメラや、カメラつき防犯灯設置に対する県警察の御所見をお聞かせください。 以上が私の一般質問ですが、少しお時間を頂戴したいと思います。 前回、九月議会におきまして、新型コロナウイルス感染症について、IHEATの取組を山口県も取り入れ、活用すべきであると提言させていただきました。また、新型コロナウイルス感染症陽性者の方々が利用する、宿泊療養施設の運営管理に触れさせていただきました。 感染拡大時、保健所における激務の軽減につながり、県民の方のスムーズな連絡のやり取りが可能となり、未知のウイルス感染症からの不安の払拭につながるとの思いから発言をいたしましたが、三年近く、最前線で未知のウイルスと闘われていらっしゃる皆様に対して配慮に欠ける表現がありましたこと、この場をお借りいたしましておわび申し上げます。 一昨日の知事の御答弁に、冬場の感染拡大に備え、発熱した場合に確実に相談でき適切な受診につながるよう、受診・相談センターの電話回線を現行の約二倍に増設するとともに、自宅療養者フォローアップセンターの相談・診療体制を約一・五倍に拡充されるなど、一層の体制強化に取り組みますと御答弁されましたこと、また、最近、宿泊療養施設を利用した方から、ほこりも舞うことなくきれいに管理されていましたことを連絡を頂き、お礼を言われておりました。この場をお借りして、体制強化や改善に対し、御礼を改めて申し上げます。 最後に、新型コロナウイルス感染症に対し御尽力いただいております方々に、改めて感謝と、そして敬意を表し、一般質問とさせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 松浦議員の御質問のうち、私からは、原油価格高騰などの経営危機に苦しむ県内加工業者支援についてのお尋ねにお答えします。 昨年から続く原油価格の高騰は、本県の基幹産業である製造業をはじめ、農商工連携に取り組む中小企業や六次産業に関わる加工業者など、多くの事業者に利益減少等の影響を及ぼしており、光熱費の上昇が事業継続に大きな負担となっています。 このような状況の中、地域経済の重要な担い手である中小企業が事業を継続していくためには、経営安定に向けた資金繰り支援の充実と、生産性の向上や省エネルギー体質への転換を図ることが重要であると考えています。 このため、私は、六月補正予算で燃料費等の高騰により売上げや利益が減少している事業者を支援するため、資金繰りを支援する新たな融資制度や省エネルギー設備等の導入に対する補助制度を創設しました。 この補助制度については、予想を超える多くの事業者から申請を頂いたことから、九月補正予算において予算を増額し、現在、できる限り早期に支給できるよう取り組んでいるところです。 こうした中、国においては、現下のエネルギー価格の高騰に対して、総合経済対策の中で、燃料油元売への補助の継続に加え、新たに電気や都市ガス料金への補助制度を創設するなど、事業者への支援策を講じることとしています。 また、新規事業の開発や付加価値の増加などを支援する事業再構築補助金の上限額の引上げや、返済負担の軽減と収益力の改善を図るための借換え保証制度の創設が行われたところです。 こうした国の制度を活用し、金融機関や商工会議所等と連携し補助金申請をサポートするなど、中小企業の生産性向上に向けた取組を支援するとともに、このたびの補正予算において新たに創設した融資制度により、資金面からも後押しをしていくこととしています。 私は、今後とも、原油価格高騰等により経営危機に直面する中小企業が事業を継続し、ブランドを維持・発展できるよう、金融機関をはじめ関係機関等との緊密な連携を図りながら、事業者への支援に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 内海総務部長。    〔総務部長 内海隆明君登壇〕 ◎総務部長(内海隆明君) 人口減少に関する二点のお尋ねのうち、まず、県立大学の定員の増加についてのお尋ねにお答えします。 県立大学では、地域のニーズや長期的かつ安定的な学生確保の見通し、県内他大学への影響等を勘案し、現在、入学定員をおおむね三百名程度としています。 今後、少子化の進行により十八歳人口の減少が見込まれ、また、定員を増加させる場合には、新たな教員の確保や必要な施設の整備等により相当の財源が必要となります。 こうしたことから、県財政が依然として厳しい状況にある中で、県立大学の定員の増加については慎重に判断すべきものと考えています。 次に、県立大学への入学選抜方法に、指定校推薦枠を設けることはできないかとのお尋ねです。 県立大学の入学選抜は、学力試験による一般選抜と学校長の推薦による学校推薦型選抜に区分し、さらに学校推薦型選抜は、県内高校枠と地域貢献人材発掘枠に区分して行っているところです。 県内高校枠は、県内全ての高校等を対象に、入学定員の約三分の一に当たる百名程度を枠として設け、これにより安定的な県内高校生の確保に努めています。 一方の地域貢献人材発掘枠は、県議会での御提言を契機として、県内高校を含む全国の高校等を対象に、地域の活力創出に貢献できるリーダーとして活躍が期待される人材の発掘を目的として令和三年度入試から導入したものです。 こうした学校推薦型選抜の入学定員に占める割合は、国の通知による上限近くに達しており、お示しのような指定校推薦枠を新たに設けることは困難と考えています。 お示しの若者の県外流出対策としては、県と県内全ての大学や経済団体等で構成する大学リーグやまぐちにおいて、県内進学ガイドブックの作成や県内進学・仕事魅力発信フェアの開催などに取り組んでいるところです。 県としては、引き続き、大学リーグやまぐちと連携し、各大学の魅力向上や若者の県内定着の促進に向けた取組を進めてまいります。 ○副議長(二木健治君) 木村副教育長。    〔副教育長 木村香織君登壇〕 ◎副教育長(木村香織君) 夜間中学についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、夜間中学ニーズ調査について、ウェブ環境にない高齢の方のニーズをどのように把握していくのかとのお尋ねですが、今回の調査では、ウェブに加え紙媒体による調査も実施しています。 具体的には、アンケート用紙を各市町教委に配付するとともに、特に御高齢の方への周知については、社会福祉協議会や高齢者関係団体などにアンケート用紙を送付し、調査への協力を依頼しているところです。 また、報道発表や新聞掲載などにより周知・広報にも努めています。 県教委では、このように高齢者にも届く調査となるよう工夫しながら、引き続きニーズの把握に努めてまいります。 次に、いわゆる自主夜間中学に対しての支援については、現時点、考えておりませんが、県教委としては、現在実施している調査により、まずは公立夜間中学に対する潜在的な需要の有無を全県的に把握してまいりたいと考えております。 ○副議長(二木健治君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) 防犯カメラ・カメラつき防犯灯設置に対する県警察の考え方についてのお尋ねにお答えします。 防犯カメラには様々な機能を有するものがあると承知しておりますが、こうしたものを設置することによって犯罪を抑止する効果が期待でき、付近住民の安心感の醸成につながるものであるとともに、事件・事故発生に際しては、犯人につながる重要な情報が記録されているなど、事件の解決にも大きな効果を発揮するものであると考えています。 そこで、県警察では、自治体や事業者のほか関係機関・団体に対して、犯罪抑止を目的とした防犯カメラの設置を働きかけるとともに、設置場所の把握に努め、令和四年十月末現在、県内に約七千二百か所の設置を把握しています。 事件・事故が発生した際には、必要に応じて発生場所付近の防犯カメラの映像を確認しており、その際には、管理者等への協力要請や法令に基づく措置など、適切に対応しているところです。 こうしたことから、県警察では、平素から事案発生時等を想定し、通学路や不特定多数の方が行き来する駅や商店街等の犯罪等の発生が懸念される場所を中心に、自治体や事業者のほか関係機関・団体等に対して、様々な機会を通じて防犯カメラの設置の働きかけを行い、自治体等と連携した犯罪抑止対策に取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 合志栄一君。    〔合志栄一君登壇〕(拍手) ◆(合志栄一君) 新政クラブの合志です。通告に従いまして、公共交通政策について一般質問を行います。 その一は、県の役割についてであります。 マイカーの普及が進んでいる今日の時代においても、バス、電車、鉄道、タクシー等の公共交通は、地域社会にとって必要不可欠であります。 十八歳未満の青少年は、自動車の免許を持てませんし、高齢者で七十五歳以上になりますと、自動車の免許を持たない人の割合は本県では六四%でして、県総人口において自動車の免許を持たない人の割合は三二・四%であります。 こういう人たちにとって、生活上必要な移動手段としての公共交通を適切に確保していくことは、自動車による移動のために道路を整備していくのと同様に、政治行政が果たしていくべき責務であります。 我が国では、国鉄の民営化もあり、どちらかというと交通に関する事業は、公営ではなく民営で行うのが妥当と考えられ、公営だった地方バスもそのほとんどが民営化されるか民間事業者に移譲されてきました。 一方、車の保有も、一軒に一台から一人一台へと増加が続く中、公共交通の利用は減少が続き、公共交通を守っていくためには公的関与が求められるようになり、そのための法的フレームとして、国は平成十九年に地域公共交通活性化再生法を、平成二十五年には交通政策基本法を制定いたしました。 この交通政策基本法は、第二条において、交通に関する施策の推進は、国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならないと明記し、全ての国民の交通に対する需要の充足を重視する方向で、交通に関する施策を推進することを基本理念の一つとして位置づけ、国や地方公共団体の責務を定めています。 地方公共団体とは、都道府県及び市町村のことですが、平成の時代におけるこうした交通に関する法の制定においては、公共交通に関する地方公共団体の施策は、主に住民に密着している市町村が担うものと想定されていたように思われます。 それが、令和の時代となり、令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法においては、市町村と共に都道府県の役割を重視する方向での法改正が図られました。 このことは、公共交通はネットワークとして個別最適ではなく、広域的に全体最適の在り方が追求されるべきと考えることから、妥当な方向での法改正だと見ています。 こうした法改正を受けて、県も県下の市町と共同の当事者として、望ましい公共交通の確立に向けて、どう関与し役割を果たしていくのか、明確にしていかなければなりません。 そこで三点お伺いいたします。 まず、公共交通政策の県政における位置づけについてであります。全ての県民に交通に対する基本的需要の充足が図られるよう公共交通を確保整備していくことは、道路整備と同様に県政における重要な政策課題であると考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に、県民にとって望ましい公共交通の確立に向けて、県はどのように関与し、役割を果たしていくお考えなのか、所見をお伺いいたします。 第三点は、やまぐち未来維新プランにおいて、本県の公共交通政策の方針も示すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、さきの質問と関連することでありますが、県として地域公共交通計画、すなわち山口県地域公共交通計画の策定に取り組むべきとの趣旨で質問を行います。 私は、令和元年九月県議会で、交通政策についてということで一般質問を行い、交通はネットワークとして機能するものであり、全体最適が図られるべきことに留意すれば、まず県全体の大綱的な交通計画があって、それと整合する形で各市町の個別的交通計画が作成されるというのが望ましいということで、山口県総合交通計画の策定に取り組むことを提案いたしました。 これに対し、県下の各市における計画は、隣接市町との交通ネットワークについても考慮し策定されていることから、全県的な交通ネットワークの形成を目的に、山口県総合交通計画を策定することは考えていない旨の答弁がありました。 この質問当時は、令和二年の地域公共交通活性化再生法の改正以前でありましたので、国は市町村に対しては、地域公共交通網形成計画の策定を求めていましたが、都道府県に対してはそのことを求めていませんでした。したがって、そのことを踏まえての答弁であったと理解したところです。 それが、令和二年の改正で、地域公共交通網形成計画は地域公共交通計画と名称も改められ、より実効性ある計画として策定することが、全ての地方公共団体に努力義務化されました。 地方公共団体は、都道府県と市町村のことでありますので、山口県も県としての地域公共交通計画の策定に取り組むことが努力義務としてあることになりました。 このことを受けて、山口県地域公共交通計画の策定に取り組むかどうか、村岡知事の判断が問われることになりますが、私はぜひ取り組むべきだと考えます。 以下、その理由を申し上げます。 その一は、国の公共交通に関する施策が都道府県にも公共交通計画策定の努力義務を課し、そうすることが望ましいとの考えに立って推進されるようになってきていることであります。 このことは、令和二年の活性化再生法の改正に伴い、国交省が今年の三月に示した地域公共交通と乗合バスの補助制度の連動化に関する解説においても明らかであります。 この解説は、今後、乗合バスの運行費等に対する補助事業の活用のためには補助系統の地域の公共交通における位置づけや、補助事業の必要性等について、原則補助系統をまたがる全ての市町村の地域公共交通計画、または都道府県の地域公共交通計画に記載が必要であり──中略しまして──特に、幹線系統については、都道府県の計画への位置づけも想定しており、今後は都道府県による計画作成も重要となりますと述べています。 その二は、県づくりと県の公共交通計画は密接不可分と思われるからであります。 私は、先般十一月十日、岡山市に両備グループ代表の小嶋光信氏を訪ねました。 両備グループは、交通・物流部門、ICT部門、まちづくり部門等々四十四社一組合からなる岡山県を代表する企業グループであります。 そのグループ代表の小嶋氏は、自らバス、路面電車、タクシー等の公共交通の事業経営に当たるとともに、地方交通再生の請負人とも言われるほどに、全国各地の危機に瀕したローカル鉄道や地方バス等の再生を成し遂げる一方、国における交通政策基本法や地域公共交通活性化再生法の制定・改正にも大きな影響を与え貢献しています。 また、公共交通に関する優れた研究者、有識者、実務者を構成メンバーとする地域公共交通総合研究所を設立して、自ら代表となり、公共交通に関する調査・分析・コンサルティング等を行うとともに、同研究会のメンバーは、国における交通政策の検討会等の委員にもなり寄与しています。 私は、親しくしている方が小嶋氏と慶應義塾大学の同窓で友人であることから小嶋代表を知り、訪ねまして、両備グループ本部の応接室で話を伺いました。 そこで小嶋代表が強調されたことの一つは、公共交通は単に生活上必要な移動を確保するための手段の域にとどまるのではなく、住民の生活の質を高める地域づくり、まちづくりに資するものでなければならないということでした。 そして、欧州連合(EU)が策定いたしました都市交通計画の指針が、脱炭素、国民の健康、都市の交通安全を政策目標に掲げ、生活の質、QOLに焦点を当てた人に優しい計画になっていることを紹介され、日本もこれに学び、その上で日本型の望ましい公共交通の確立を目指すべき旨、語っておられました。 平成十九年に制定され、平成二十六年及び令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法は、まちづくり、地域づくりと公共交通の連携を実効あるものにするために制度環境を整えてきています。 そこで、欧州での取組や日本各地の先進事例等も参考にして、本県がある意味、全国のモデルとなる地域公共交通計画の策定に取り組むことを期待するものであります。 理由のその三は、県の公共交通計画において、本県のローカル鉄道を明確に位置づけることが、そのローカル鉄道を守り活用することにつながると思われることであります。 御案内のように、JR西日本は、今年の四月に輸送密度二千人未満の線区においては、地域と輸送サービスの確保に関する議論や検討を行う方針を公表しました。 また、七月には国の有識者検討会が、輸送密度が千人未満のローカル線は、利便性及び持続可能性が損なわれている危機的な状況の線区であるとして、国の主体的な関与により、都道府県を含む沿線自治体、鉄道事業者等の関係者からなる協議会を設置し、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かずに、協議する枠組みを創設することが適当である旨、提言いたしました。 本県では、輸送密度が千人未満の線区は、山陰線の益田─長門市区間と長門市─小串・仙崎区間、山口線の宮野─津和野区間、小野田線の小野田─居能区間、美祢線の厚狭─長門市区間の四路線五区間ありまして、提言に沿って法整備が図られますと、これらの線区については、存廃も含め今後の在り方に関して議論を深め、方針を見出すための公的な協議会が設けられることが予想されます。 こうした事態を受けて、沿線自治体及び山口県市長会は、県に対してJRローカル線の維持・確保に向けた支援を要望し、県のリーダーシップへの期待を表明しています。 また、有識者検討会は提言の中で、国・地方自治体・鉄道事業者の責務について触れ、特に、都道府県については、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、一層大きな役割を果たすべきであると指摘しております。 このような期待や要請に応え、役割を果たすには、県は公共交通に関して調整の域に甘んずるのではなく、全体的な構想、ビジョン、計画を持つ必要があるのではないでしょうか。 以上申し上げました理由から、山口県地域公共交通計画の策定に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の三は、コミュニティー交通への支援についてであります。 山口市は、歴史もあり、文化もあり、豊かな自然もありの適度に都会、適度に田舎のいい町で、転勤族で山口に住まわれた方で定年退職後、山口市に住もうという方も多いようです。 ただ、山口市の難点は、車が運転できなくなると一気に不便な町になることで、これへの対策が山口市にとって大きな課題であります。 山口市における基幹の公共交通は、市内を走るJRの各線と路線バスでして、コミュニティーバスやコミュニティータクシー等がこれを補完して、交通空白地の解消を図ろうとしています。 県下の市町でも、ほぼ同様の取組がなされていると思われるので、山口市の公共交通への取組を取り上げて、交通空白地解消の一環としてのコミュニティー交通への支援につきお伺いいたします。 山口市の令和四年度予算における公共交通に関する事業費は、幹線バス運行維持事業二億一千五百万円、二ルートのコミュニティバス実証運行事業六千六百万円、徳地・阿東地区の生活バス運行事業六千二百万円、市内八地区でのコミュニティタクシー運行関連事業六千万円等であります。 これらの事業のうち幹線バス運行事業に対して、県から約三千万円余の補助がありますが、それ以外は市の一般財源であります。 これらの事業費の八○%は、特別交付税措置の対象になるとはいえ、市としては財政規律を維持する観点から、公共交通への支出も一定の大枠の範囲内となります。 このため、コミュニティータクシーにおいては、運行経費の七割は市の補助の限度で、残りの三割は運賃収入と運行地区の企業等の協賛金、そして、地元負担金を充当する仕組みとなっております。 ある地区では、この地元負担金が年間約百万円にもなる見通しということで、それをどう確保するか苦慮しています。 こうした交通空白地域解消に向けた取組の実情を知るにつれ、交通政策基本法において、全ての国民の交通に対する需要の充足を重視する方針が示されているものの、そのことを実効あらしめる仕組みの構築と財源の確保は、今日においても大きな課題としてあることを感じます。 路線バスやコミュニティーバス等の基幹交通が近くを運行していない交通空白地域の人たちにとって、車が運転できなくて身近に車に乗せてくれる人がいない場合は、移動手段はタクシーになると思われます。 地域をきめ細かくカバーし、地域の中心地や基幹交通に接続する移動手段をコミュニティー交通と言いますが、その役割を主に担っているのはタクシーであります。 しかし、通常の料金でタクシーを頻繁に利用することは過重負担になるため、公的補助により、バス運賃並みでバスの代わりにタクシーを運行するコミュニティータクシーや、タクシー利用への割引券の交付などにより、タクシー利用の負担軽減を図ることがコミュニティー交通では必要となり、そのための財源確保が課題であります。 そこでお尋ねです。その一は、コミュニティー交通への県の支援についてであります。 コミュニティー交通を必要とする地域の多くは過疎地域であり、運賃収入はどうしても僅かで、運行経費の大部分は公的補助になります。この公的補助に関しては、現在本県では県の補助は行われておらず、関係市町が一般財源から充当しています。 この市町の補助金に対しては、最大で八○%が特別交付税措置の対象になりますが、県がコミュニティー交通支援のために補助した場合も同様の措置がなされることを確認しました。ついては、県も一定の方針を定めて、コミュニティー交通への支援を行い、コミュニティー交通の拡充を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 その二は、ICカードの導入についての支援であります。 県は、ICカードの導入について、バスへの支援を行っていますが、タクシーに対しては支援がないようであります。コミュニティー交通を担うタクシーにおいても、ICカードの導入が進むことが望まれます。ついては、バス同様、タクシーに対してもICカード導入への支援を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 その三は、国への要望についてであります。 コミュニティー交通への国の補助は、既に運行しているところに対してはなく、新たに運行を始めるところに対して措置される制度となっています。 このことに関し市町の関係者からは、既に運行しているコミュニティー交通に対しても国の補助があるよう県から要望してほしい旨の声があります。ついては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 質問の四は、コロナ禍の公共交通事業への影響と対策についてであります。 さきに紹介しました小嶋氏が代表を務める地域公共交通総合研究所は、コロナ禍における地域公共交通の現状を知るために、全国のバス・鉄軌道・旅客船事業者約五百社に対してアンケート調査を実施し、その調査結果を今年の八月に発表しています。 それによりますと、一、輸送人員の減少は、三割以上の落ち込みがある事業者が三割を占める。二、公的補助・支援がないと一割の事業者が半年以内に経営の限界、二年以内に八割は経営の限界が来ると予想。三、コロナ禍に追い打ちして燃料高と乗務員不足が経営を大きく圧迫。四、コロナ禍対応に五割は路線廃止と減便で対応しており、将来の路線維持・経営維持への不安が高まっている。六、今後もリモートや社会生活の変化で、コロナ禍以前の利用客数には、一ないし二割は戻らないと懸念される。等々、新型コロナが地方公共交通の危機を加速させた状況が明らかになっています。 同研究所が、こうした地方公共交通の危機を救う緊急対策として、一、人流制限緩和の継続と両立するコロナ禍対策の実施。二、コロナ禍の累積損失に対する補助・支援。三、雇用調整助成金やコロナ禍対策の政府や自治体の支援継続。四、長期かつ無利子の金融支援の拡充。五、燃料費補助の緊急支援。六、乗務員不足に対する対策を提言しています。 公共交通を守るためには、公共交通の事業経営が持続可能であることが必須であります。そういう意味において、以上の提言はコロナ禍で危機に瀕する地方公共交通を守るため、国や地方自治体が直ちに実施すべき必要不可欠の事項であると思われます。 なお、この調査対象には、タクシーは含まれていませんが、コロナ禍のタクシーへの影響も深刻で、ダメージはもっと大きいと見られています。 そこで、タクシーも含めての公共交通事業についてのお尋ねであります。 まず、本県におけるコロナ禍の公共交通事業への影響をどう認識しているのか、お伺いいたします。 次に、コロナ禍による深刻な影響を克服して、本県の公共交通事業者が事業継続を図っていくためには、さきの提言に示されているような支援が必要と考えます。ついては、こうした支援の実現に県はどう取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 質問の五は、公共交通政策における大学との連携であります。 私は、さきの六月県議会において、大学は今日、地域との連携・貢献を自らの役割として位置づけ、地域課題の解決に、大学が有する知見や機能を役立て生かしていこうとしていることを指摘して、大学等の連携を一層進め、県政の地域課題解決の総合力を強化すべき旨、質問いたしました。 この質問に対して村岡知事より、新たな未来の県づくりを、より高いレベルへと押し上げていけるよう、今後とも県政各分野で展開する様々な施策において、大学との連携・協働を積極的に推進する旨の答弁がありました。 この答弁にあります、県政各分野の様々な施策において大きな柱の一つとなるのが、公共交通政策であると考えます。 さきに、未来維新プランにおいて、公共交通政策の方針を示すべきだと申し上げて、所見を伺ったのはそういう考えからであります。 この公共交通政策は、バス、鉄道、タクシー等の公共交通事業が、多種多様なニーズに応えるとともに、事業として成り立ち、持続可能性が担保される方向で施策の展開を図るものでなければなりません。 そのためには、多種多様な需要動向把握の方法を確立し、需要動向に関するビッグデータを解析して、持続可能な事業モデルを確立する。LRTやBRTに関する調査検討、自動運転等の移動手段の進化及び実用化の将来予測、公共交通におけるウーバー的手法活用の検討、デジタル技術・ICTを活用した最先端の交通システムの確立に向けた取組等々、素人の私が思いつくだけでも、極めて幅広く優れた知見が求められるのが公共交通政策であり、大学と連携して取り組むにふさわしい課題と思う次第であります。 具体的な連携の在り方は、県と大学関係者とで協議すればいいと思いますが、県には、調査研究、先進地視察、シンポジウムの開催等に大学が主体的に取り組めるよう十分にして必要な予算措置を講ずることが望まれます。 そこでお尋ねです。新たな未来の県づくりに向けて、重要な政策の柱の一つとなる公共交通政策の確立と推進において、大学との連携を一層進めるべきと考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終わります。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 合志議員の御質問のうち、私からは、公共交通政策に関する県の役割についての三点のお尋ねにまとめてお答えします。 バスや鉄道などの地域公共交通は、通勤や通学、通院など、県民の日常生活はもとより、地域活性化や観光振興などの面からも大変重要な役割を果たしています。 しかしながら、人口減少や少子高齢化の進展等に加え、長引くコロナ禍の影響により、本県においては、公共交通機関の利用者が減少し、バス路線の廃止や減便が進行するなど、地域公共交通を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県を築いていくためには、その基盤をなす地域公共交通の維持・活性化が、大変重要な政策課題であると認識しています。 この政策の推進に当たっては、県が地域の実情を最も把握し、まちづくりの主体でもある市町に対する適切な指導・助言を行うとともに、広域的な公共交通の維持・確保や利便性向上に向けた取組を一層促進する役割をしっかりと果たす必要があると考えています。 こうした考えの下、私はやまぐち未来維新プランにおいて、交流を活発化する交通ネットワークの機能強化や、快適で住みやすい生活環境づくりの推進を重点施策に掲げ、交流の拡大と生活交通の維持・活性化の両面から、総合的な交通政策を積極的に推進していくこととしています。 具体的には、交流の拡大に向けた一層の利便性の向上を図るため、バス等における交通系ICカードの導入をはじめ、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入や、公共交通情報のデジタル化・オープンデータ化などの取組を推進してまいります。 また、生活交通の維持・活性化を図るため、地域住民の日常生活に必要な生活バス路線や離島航路の確保対策に取り組むとともに、地方ローカル線の活性化に向けた利用促進などの取組を推進していくこととしています。 私は、今後とも、国や市町、交通事業者等と連携し、地域公共交通の維持・活性化に向け、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 三坂観光スポーツ文化部長。    〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 ◎観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) 公共交通政策に関する数点のお尋ねのうち、まず山口県地域公共交通計画の策定についてお答えします。 令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法では、持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が交通事業者等と連携して、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善・充実を徹底することが必要とされています。 このため県では、昨年三月に、法の趣旨に沿った法定計画の役割を担うものとして、学識経験者、国や市町、交通事業者の連携の下、多様化する地域公共交通の課題解決に向けた指針となる、新たな地域交通モデル形成に関する取組方針を策定したところです。 この取組方針には、法定計画に定めるべき地域公共交通の活性化及び再生に関する基本的な方針としての内容を盛り込んでおり、県内市町とその内容を共有しながら、持続可能で利便性の高い地域公共交通の実現に向けて取り組んでいるところです。 県としては、地域公共交通を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、引き続きこの取組方針が、法の趣旨に沿った法定計画としての機能を十分に果たしていくことを基本に、今後とも必要な改訂や検討を行ってまいります。 次に、コミュニティー交通への支援についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、コミュニティー交通への県の支援についてです。 地域住民の日常生活を支える身近な移動手段として、コミュニティー交通の導入は有効な取組であり、各市町において、その運行への支援が行われているところです。 県としては、国制度に準じ、市町が新たにコミュニティー交通の運行を開始する場合に、その運行経費の一部を支援しているところであり、今後とも県内でコミュニティー交通の導入が一層進むよう市町の取組を支援してまいります。 次に、タクシーに対するICカードの導入支援についてです。 タクシーにおけるICカードやQRコード等によるキャッシュレス決済の導入については、これまでも国による補助制度などにより進められているところです。 県としても、感染防止対策の観点から、タクシー事業者がキャッシュレス決済を導入する経費に対し支援を行ってきたところであり、こうした取組により、現在、県内タクシー車両の約八割がキャッシュレス決済に対応しています。 次に、既に運行しているコミュニティー交通に対する補助に関する国への要望についてです。 県では、全国知事会等を通じて、国に対しコミュニティー交通への補助も含め、地域の生活交通を維持する取組に対する必要な財政支援を行うよう要望しているところであり、今後とも補助対象の拡大等に向け、国への働きかけを行ってまいります。 次に、コロナ禍の公共交通事業への影響と対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、本県におけるコロナ禍の公共交通事業への影響についてです。 コロナ禍の長期化に伴い、本県においても、バスやタクシーをはじめ地域公共交通の利用者が著しく減少し、交通事業者に甚大な影響を与えています。 今年度に入り、利用状況はバス、タクシー、フェリー、地域鉄道ともに一定の回復傾向にはあるものの、コロナ禍前の令和元年度と比べると六割から七割程度の回復にとどまっている状況です。 こうした状況に加え、燃料価格高騰等による影響が事業者の経営を大きく圧迫しており、地域公共交通は依然として厳しい状況が続いているものと認識しています。 次に、公共交通事業者が事業継続を図っていくための支援についてです。 県では、厳しい経営環境に置かれている公共交通事業者の事業継続を図るため、これまで事業者が実施する感染症対策の取組に対する支援や、原油価格高騰等の影響により大きな負担となっている燃料費や車両等の維持経費への支援を行っているところです。 また、資金繰り支援としては、県制度融資の経営安定資金に係る融資枠確保や、原油価格の高騰により売上げや利益が減少している中小企業の経営の安定を図るための資金を創設するなど金融支援の充実を図っています。 さらに、バスやタクシー事業者の運転手不足の解消を図るため、山口労働局や交通事業者等と連携して就職相談会を開催するなど、地域公共交通の担い手確保に取り組んでいます。 こうした取組に加え、全国知事会等を通じ、これまでも国に対して消費喚起策や資金繰り支援、さらに雇用維持・確保対策などの実施について要望をしているところです。 県としては、今後とも国や市町と連携し、コロナ禍により深刻な影響を受けている公共交通事業者の事業継続が図られるよう、必要な支援に取り組んでまいります。 次に、公共交通政策における大学との連携についてのお尋ねにお答えします。 地域の実情に応じ、将来にわたって持続可能な公共交通を実現するには、急速に進展するデジタル技術の活用や、新たなモビリティーサービスの導入等、様々な取組を効果的に推進していく必要があり、そのためには専門的知見を有する大学等との連携が重要です。 このため、県では、多様化する地域公共交通の課題解決を図るための検討委員会に、学識経験者として山口大学大学院教授に参画していただき、専門的な立場からの指導・助言を受けているところです。 また、県と交通事業者の連携によるバスロケーションシステムの実証事業に山口東京理科大学が参画するとともに、路線バス検索システムの構築に向けて、宇部市交通局と宇部高専との共同研究が行われるなど、大学等と連携した取組が進んでいます。 県としては、今後とも、公共交通政策の効果的な推進を図るため、専門的知見を有する大学等との連携・協働による取組を積極的に推進してまいります。 ○副議長(二木健治君) 本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。   ───────────── ○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時十八分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   坂   本   心   次                   会議録署名議員   磯   部   登 志 恵...